全国委員会への報告(3/5)2012年1月19日
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最大の問題は、わずかな過不足で米価の乱高下を招く、ギリギリの需給と市場まかせの米政策にあることは明らかです。大震災のなか、被災者が民間の救援米で命をつないでいるとき、政府は備蓄米を一粒も出さず、米を投機の対象にする「先物取引」の認可に突き進んでいきました。
当面の米対策として、(1)戸別所得補償制度の標準的生産費を引き上げ、規模要件の導入に反対する、(2)ゆとりある生産と米価が下がらない対策の実施、(3)備蓄ルールにもとづく5年古米の処理と40万トン規模の買い入れで100万トンを確保する、(4)福島県産米は全量、国が買い上げる、(5)米先物取引の認可取り消し、を要求してたたかいます。
2011年産米の集荷は、前年産の暴落に対する農家の反発や、縁故米、農家保有米の増大などの要因も加わり、系統に米が集まらず、農家の農協離れ、農協の全農離れが加速されています。
こうした中で、新たに島根県で行政を巻き込んだ準産直米に取り組むなど、全国各地で積極的に準産直米が取り組まれました。しかし、一部の産地で前年実績を割り込み、長年お付き合いのある業者に米が渡せないなどの残念な結果が生じてしまいました。米の問題は担当者まかせにせず、役員と組織全体の問題として取り組むことが重要です。
不安定な米価と流通を体験し、業者も産地も新たな仕入先(販売先)を求める動きを強めています。全国のネットワークの力をいかして、中小の米流通業者と積み上げてきた準産直米の役割はますます重要です。農家や農協にも一緒に販路をひらく取り組みへの参加を呼びかけ、もう一つの流れを確かなものにしましょう。
野菜や果樹農家は、気候の影響による不作に加えて、放射能汚染による消費低迷などで経営困難に直面しています。こうした影響は、ふるさとネットワーク傘下の産直組織が行っている産地間の提携にも及んでいます。原発事故による影響を賠償請求するとともに、きめ細かな放射線検査や消費者へのアピールを強めて乗り切る運動が求められています。
「取組方針(案)」について政府は、「TPPへの参加を前提にしたものではない」と言っていますが、「基本方針・行動計画」そのものが、菅内閣が「TPPへの参加の検討」を打ち出した際に、TPPなど高度な経済連携協定と農業を両立させるために「農業構造改革」を断行するとして検討されてきたものです。
「取組方針(案)」は、青年後継者を確保するための支援策など前進面もありますが、重大なことは、農産物価格対策を棚上げしたまま、2018年度までに経営規模を平場で20〜30ヘクタール、中山間地で10〜20ヘクタールが大宗(80%)を占める構造をめざすとしていることです。そして、こうした政策を推進するために、すべての市町村、集落で「地域農業マスタープラン」を策定するとしています。
そのため、農地の貸し手への「手切れ金」(協力金)」や農機具を処分した「協力者」への交付金(刀狩り)まで打ち出しています。これは、自公政権時の「品目横断的経営安定対策」を上回る構造政策であり、「担い手確保」の名のもとに、多数の農家を生産から締め出す危険なねらいがあります。また「農林漁業の6次産業化」を打ち出し、官民が出資する「農林漁業成長産業化支援機構」(支援ファンド)と20の地域ファンドを作って支援するとしています。重大なのは、この対象に家族経営農業がなく、農業に参入する企業の「成長」を促進するものとなっていることです。
農民連は、(1)農産物輸入の規制、(2)生産費を償う価格保障を軸にした経営安定対策の確立、(3)フランス並みの担い手確保対策の実施こそが、日本農業の再生に不可欠であり、この方向への農政の転換を強く要求します。
こうした見地から集落の話し合いに積極的に参加し、農家と地域の実態、要求を無視した「構造改革」や、集落営農組織の機械的な押し付けに強く反対します。
同時に、担い手不足に悩む農家や地域の実情を踏まえた、助け合いによる“集落のみんなの力をいかす”取り組みや、多様な担い手づくりの実践を進め、政府や行政への支援を要求します。
国連は2012年を「国際協同組合年」に定め、各国政府に発展を促すための支援の充実を求めるとともに、国際的なキャンペーンを呼びかけています。この呼びかけにこたえて、協同組合関係組織と連携したキャンペーンに取り組みます。
[2012年2月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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