「農民」記事データベース20120206-1007-08

全国委員会への報告(4/5)

2012年1月19日
農民連常任委員会 笹渡義夫

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 6、税をめぐる情勢と消費税増税阻止、重税反対の運動

  (1)税金をめぐる情勢

 野田首相は2つの増税を押し付けようとしています。ひとつは、消費税を2015年10月に10%に引き上げる法案を今度の通常国会に提出しようとしています。「この選挙で選ばれた政権の間は消費税をあげません」という総選挙の公約を根底からくつがえすもので、絶対に容認できません。政府は、消費税増税を国民に押し付ける口実として打ち出している「社会保障と税の一体改革」は、社会保障を後退させて消費税だけを上げるとんでもない内容です。

 もう一つは、東日本大震災の復興財源をめぐって民主、自民、公明が成立させた「復興財源確保法」です。これは、庶民への増税分(9兆円)が大企業の減税分にそっくり飲み込まれてしまい、1円の復興財源も確保できないものです。

 先の国会で成立した国税通則法改悪は、民主党が総選挙で掲げた「納税者権利憲章の制定」を投げ捨て、逆に納税者の権利を著しく蹂躙(じゅうりん)するものであり、強く抗議します。とくに、所得300万円以下の小規模な事業者にまで一律に記帳を義務付けることは、今後の消費税増税とあわせて、簡易課税や免税点の廃止・縮小のねらいと直結する可能性があります。

  (2)消費税増税を阻止するたたかい

 消費税増税を阻止するたたかいは、今度の通常国会が山場になります。学習を力に、「社会保障と税の一体改革」の欺まんを徹底して暴露・宣伝し、署名を積み上げます。JA全中も消費税を転嫁できない農家は増税に耐えられないことを打ち出し、消費税増税に強い懸念を表明しています。こうした条件もいかして消費税増税反対の一点での共同を広げます。

  (3)確定申告運動と3・13重税反対運動について

 消費税増税が画策されているもとで行われる今年の確定申告と3・13重税反対行動は、情勢をしっかり学んで納税者としての自覚を高め、広く農家に宣伝して仲間を広げ、増税に反撃するたたかいとなります。東日本大震災の被害に対する税制上の措置をしっかりつかんで申告に反映させることも重要です。

 「春の大運動」では、農家の多様な要求で結びつきのある農家に働きかけて会員に迎え入れましょう。税金だけでなく、東京電力の損害賠償請求、生産や販売、準産直米など多様な要求を掲げ、農民連の存在と要求運動を大量宣伝で広く知らせ、結びつきを広げます。

 7、農家の暮らしを守る多様な要求運動

  (1)免税軽油制度の恒久化を要求して

 免税軽油制度の継続を要求する意見書運動など、粘り強い運動で「制度打ち切り」を跳ね返し、3年間の延長をかちとったことは大きな成果でした。延長にとどまらせず、恒常的制度として確立させるための運動を強めます。

  (2)多面的な要求をとりあげて

   (1)暮らしと福祉に関わる要求
 農家は、営農や暮らし、福祉や雇用などの困難を抱えており、日常的な相談活動が求められています。弁護士や労働組合、市民団体などの力を借りて相談活動に取り組み、会員・読者拡大にも結びつけましょう。

 「社会保障と税の一体改革」のもとで、社会保障制度の切り捨てがねらわれています。高すぎて払えない国保税と保険証の取り上げ問題も深刻です。暮らしや福祉にかかわる要求運動を政府や自治体に向けて進めます。

   (2)漁民要求など農山漁村を守る運動
 被災した漁民の復興要求を実現する運動、魚価の価格保障の実現、漁民の暮らしと経営を守る運動を進めます。

 葉たばこ生産農家の約40%が生産断念に追い込まれようとしています。こうした農家の救済や生産転換への支援を要求します。

   (3)都市農業を守る運動、固定資産税の軽減
 国土交通省都市計画審議会が09年に、都市の農地を宅地や商業地への開発から、保全の方向に大転換する答申を公表しましたが、民主党政権のもとで動きが止まっています。宅地並み課税の廃止や都市農業を振興させる政策の確立を求める運動を進めます。

 今年は、3年ごとの固定資産税の評価替えが行われます。農業用施設用地をはじめ、農地をあくまで農地として評価させること、造成費の引き下げ、小作料を上回る固定資産税の減免などを要求して運動を進めます。広くよびかけて「固定資産税相談会」の開催、都道府県や市町村交渉に取り組みます。

 8、沖縄・普天間基地の辺野古への移設阻止、憲法9条を守る運動

 民主党政権は、総選挙での「国外」「最低でも県外」という公約を踏みにじった「日米合意」に基づいて、米軍普天間基地を名護市辺野古に移設する動きを強めています。

 沖縄県議会は昨年11月14日、全会一致で新基地建設のための環境アセス評価書の提出に反対する意見書を採択しました。「県内移設反対」「普天間基地閉鎖・撤去」は、党派の垣根をこえた“オール沖縄”の総意になっています。こうした沖縄のたたかいと連帯して、基地たらい回しを許さず、核も基地もない沖縄と日本をめざしてたたかいます。

 政党助成金には手をつけずに「政治家も身を切る」という口実で衆議院の比例定数を削減する動きは、政党を無理やり「二大政党」の枠内に閉じ込めるものであり、民意を削るものです。

 憲法審査会の始動と明文改憲への動きも急です。橋下・「大阪維新の会」の策動は、地方から独裁政治の拠点をつくり、国政に広げようというきわめて危険な動きです。憲法を守り民主主義を擁護する運動を強めます。

 9、政治を変える運動

 2012年は解散・総選挙がいつあってもおかしくない緊迫した政治状況になります。「二大政党制」が破たんし、政治の混迷が深まっているもとで、次の総選挙は重大な意義をもっています。アメリカいいなり、大企業中心の政治から抜け出さなければ、農業・食糧、農山村を再生する展望を切り開くことはできません。こうした立場から中央、地方で政治を変える運動を重視するとともに、革新懇運動の前進に力を尽くします。

(新聞「農民」2012.2.6付)
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2012年2月

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