全国委員会への報告(1/5)2012年1月19日
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農民連・全国委員会(1月19〜20日)で、笹渡義夫事務局長が常任委員会の報告を行い、全員一致で採択しました。その大要を掲載します。
全国委員会の任務は、正念場となっているTPPへの参加を許さないたたかいや原発事故の全面賠償、多様な要求運動、たたかいの核となる組織作りなどについて議論し、第19回大会決定を補強することにあります。
2008年のリーマン・ショックから始まった世界的な金融・経済危機は、現在、ヨーロッパ諸国を危機的状況に追い込み、世界規模で貧困と格差が広がっています。これは、“カジノ資本主義”や サブプライム・ローンに代表されるバブル経済に伴う金融危機と、アメリカ・ヨーロッパ・日本の多国籍企業のもうけ本位の過剰生産がもたらした恐慌が結びついた資本主義体制の危機というべき段階です。
そして、昨年12月に開かれたCOP17(国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議)は、これまでの深刻な対立を乗り越え、すべての国が参加する新たな枠組みづくりに向けた道筋を示すとともに、新枠組みの発効まで「空白」を生まないよう、京都議定書を継続することも決めました。「われわれは消滅するために会議に参加しているのではない」と叫んだ発展途上国代表の声に応えた一歩前進です。同時に、世界の流れに背を向けて京都議定書への不参加を表明した野田政権の姿勢はきびしく批判されなければなりません。
また、国連総会は12月19日、「食糧主権の検討」を求める決議を採択し、食糧主権が世界の流れになっていることを浮き彫りにしました。
その反面で、12月中旬に開かれたWTO(世界貿易機関)第8回閣僚会議は「ドーハ・ラウンドは袋小路に入っており、近い将来に合意することは不可能になった」として、事実上、新たな自由化交渉ができなくなったことを宣言しました。
WTOが成立した時、自由化とグローバリズムが“世界の大勢”と叫ばれました。私たちは歯をくいしばってこの潮流に対抗し、国内外の連帯を強めて運動してきましたが、いま、自由貿易原理主義は大きく崩れつつあります。
しかし原発利益共同体の利益を最優先する民主党政権は、福島第一原発事故の原因究明もできていないのに、休止に追い込まれている各地の原発を再稼動させ、外国に原発を輸出しようとしています。さらに重大なのは、根拠もなく原発事故の「収束」を打ち出したことです。
同時に、仮にTPPへの参加によって“農業のない日本”にされたもとでの大震災だったらどうなったか。大震災は、日本がTPPに参加することの無謀さと、これを推進する勢力の亡国的な本質を浮き彫りにしました。
「復興財源の確保」と称して、国民に増税を押し付ける一方で、大企業にはそれ以上に減税して復興財源は1円も生み出さないという詐欺的な法案を自民、公明とともに強行し、さらには消費税増税法案を通常国会に提出しようとしています。そして、復興の足かせになることも省みずに、TPPへの参加に踏み出しています。
今年は、こうした成果を生かしてTPP参加阻止、全面賠償と原発ゼロ、消費税増税阻止の課題で国民共同をつくりあげる核となって奮闘することが求められています。
こうしたたたかいのなかで、(1)一致する課題で1次産業関係団体との共同と、広範な国民・消費者とのネットワークを広げ、農業・食料を守る広大な戦線を展望する、(2)農業生産と再生エネルギー、地域づくりの核となって奮闘する、(3)すべての農家に働きかけられる数倍の組織をめざした組織づくりに挑戦することです。
[2012年2月]
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