「農民」記事データベース20110321-965-13

燎原(りょうげん)の火のごとく広がる
TPP反対運動(5/5)

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 「台所から政治をよくしよう」と消費者運動をリードする全国組織の消費者団体・主婦連合会は2月18日、TPP(環太平洋連携協定)への協議参加に反対し、食の自給率向上を求める声明を発表しました。会長の山根香織さんに、消費者にとって何が問題なのか聞きました。


主婦連合会会長 山根 香織さんに聞く

生活に直結のTPP参加に反対

 大量輸入される安い農産物心配

画像 TPPで一番心配なのは、安い農産物が大量に輸入されることによって、日本の農業に深刻な打撃を与え、食料自給率をさらに低下させ、消費生活に重大な影響を及ぼすことです。

 政府は昨年、「2020年度には食料自給率を50%にまで引き上げる」とする「基本計画」をつくり、民主党は一昨年の総選挙のとき、マニフェストで「自給率60%」を掲げ、ゆくゆくは100%にすると公約していました。TPPは、こうした計画や公約をもほごにするものです。

 とくにTPPは、例外なく関税を撤廃し、農産物だけでなく、保険・金融・医療・福祉など、あらゆる分野に影響を与え、日本の産業構造を大きく転換させます。それが雇用の喪失と地域経済の衰退、地域コミュニティーの崩壊を招くことになります。

 “食”に関心もってもらうには…

 「消費者にとっては、安い食料が手に入ってよいではないか」といわれますが、これが間違いだということを知らせることが必要です。異常気象や紛争など、食料が世界中からいつでも手に入るとは限りません。自分たちの食料をどう確保するのか。農業が壊滅し食べ物がなくなってから慌てても、遅いのです。

 食の問題に関心をもってもらうにはどうしたらよいか。主婦連の事務所が入っている主婦会館の前で、農民連ふるさとネットワークの協力を得て、「産直市」を定期的に実施しています。産地の人と交流することで食べ物がどう作られているのか、産地はどうなっているのか、食品をスーパーで買うだけではわからないことに消費者が気づくことは大きな意義があります。

 同時に、食品添加物や農薬、遺伝子組み換えなどの問題が話題になることで、食に関心をもってもらうひとつのきっかけになります。TPPでは、食品添加物の承認手続きの簡素化などで、食の安全が脅かされることが危ぐされます。

 様々な場で貿易をしやすくするための「世界基準」が適用され、私たちが運動で守ってきた食の安全のルールも壊されることはまちがいありません。こう考えると、TPPは、私たちのくらしに直結していると改めて気づかされます。

 他の消費者団体に働きかけていく

 今後は、他の消費者団体や生産者団体などとも協力して、政府にTPPに参加しないよう働きかけていくことにしています。多くの消費者にも大問題であることをもっと知らせ、理解を深めてもらうように努力したいと思います。

(新聞「農民」2011.3.21付)
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2011年3月

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