韓国農民ものづくり 仲間ふやし
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韓国の農民運動といえば、これまではWTO反対闘争やアメリカ産牛肉輸入禁止のろうそくデモといった政治闘争がよく知られていますが、生産の現場ではいま、農民連で言うところの「ものづくり」の運動が広がっています。全羅北道では、KWPA(女性農民会)がいま力を入れている在来種の種子を守る取り組みと菜園運動(ウリトッパ)を視察。慶尚北道では、リンゴ産直に取り組む地域のKPL(農民会)やニンニク生産組合と交流しました。
さっそく保存してある種子を見せてもらいましたが、数多くの豆類、ソバ、トウモロコシなどの種子がきちんと容器に分類されて番号が付けられ、管理されていました。種子の選抜や採集は、各々の農家が行うほか、共同で作っている畑もあり、トウガラシやラッカセイ、ダイコンなどが植えられ、消費者も農作業に参加することもあるそうです。また在来種の実態調査や種子の保存などは、研究者に顧問を頼み、運動を一緒に進めています。
保存された在来種の種子を見せてくれるKWPAのコン・ミョンスンさん(左端)=写真上。タッパーや封筒に整理され、冷蔵庫で保存されています(写真左) |
KWPAのチョンウプ市会長のコン・ミョンスンさんは「私たちは、在来種を守るだけでなく、減農薬など持続可能な農業にも取り組んでおり、食糧主権を実践していると自負している」と言います。
また在来種の保護を自治体の条例として制定させ、市や郡の支援や補助金を勝ち取るという運動も重視して取り組まれており、これまでにチョンウプ市を含め4つの自治体で条例が制定されているということでした。
チョンウプ市のとなり、キムジェ市では9人の女性農民がさまざまな野菜やみそ、豆腐などの農産加工品を箱に詰め合わせ、1週間に1回、ソウルやその近郊の消費者に宅配便で送る、という“産直ボックス”に取り組んでいます。
KWPAが共同で作っているウリトッパと種子採集の畑を見学(チョンウプ市) |
ボックスには、農作業の様子や栽培の苦労、料理方法などを書いた「たより」を入れます。消費者からの反応では、感謝の言葉や、なかには「夫から“このボックスはすごい。農家の女性が作ったものが、人の心を動かしている。ボックスに参加したのは、君(妻)の今年最大のヒットだね”と言われた」というものまであるそうです。
菜園運動はまだ大きな利益にはなっていないものの、「小さな畑のものでも消費者に喜んでもらえて、女性農民にとっては直接の収入となり、様々な品目を作るようになった。高齢化した女性たちも農作業から引退せずに作り続けてくれるのがとてもうれしい」と、ボックス責任者のカン・タボックさんは言います。KWPAは持続可能な農業の実践にも熱心に取り組んでおり、「こうした高齢の女性農民から学ぶ知恵は多く、一番大切な存在だと思っている」と強調していました。
[2010年10月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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