アメリカBSE汚染の深刻さ実感(1/3)全国食健連訪米視察団に参加して
農民連会長 佐々木健三さん
肉骨粉混入の可能性も日本の検査体制と違い浮き彫り佐々木 私たちは七日間の視察で、十の消費者・農業団体、NGO、それから政府、業界団体と話をした(1面表)。ハイライトはやはりアメリカ農務省と食肉輸出連合会。農務省では対日交渉チームの代表を務めるチャック・ランバート副次官が、食肉輸出連合会ではフィリップ・セング会長が自ら応対した。これは、BSE問題に対する日本国民の運動、関心の高まりへの彼らなりの警戒感の表れだろう。アメリカ産牛肉の輸入解禁を迫る“本丸”と対決できた成果は大きい。
ごう慢な食肉業界首脳発言坂口 政府・食肉業界の主張は、「アメリカは日本よりも早く肉骨粉の使用を禁止している」「BSE牛はカナダ生まれの牛で、アメリカ牛ではない。だから安全だ」というもの。その行き着く先が、「日本の全頭検査は政治的で、アメリカの対策は科学的」「日本は半分以上の食料を輸入に頼っているのだから、多少のリスクを負うのは当然だ」というセング会長のごう慢な発言だった。
飼料の7割から動物性原料確認石黒 セング会長は、牛肉・オレンジ自由化の時も来日したという。市場開放を迫りながら、“自給率が低いからリスクは当然”とは何たる言い草か! 政府や業界関係者の話と、消費者・農民団体の人の話がまったく違っていたのが印象的だった。マイケル・ハンセン博士は、飼料規制のズサンさを指摘した後、カナダのメディアが伝えた飼料調査の結果を紹介していた。それによると、「植物原料のみ使用」と表示された飼料の七割から動物性原料が確認されたということだ。(囲み上)坂口 つまり肉骨粉が混入する可能性も大いにあるということだ。日本とアメリカの検査体制の違いも浮き彫りになった。農務省から派遣された食肉検査官が、企業の監視の目が厳しくて企業にとって不都合なところには立ち入れないという話には驚いた。食肉検査官は、そうした状況を農務省に「問題あり」と報告する。ところが農務省はそれを無視する。パブリック・シチズンは、そういった食肉検査官の証言をまとめている。近々、日本語に翻訳して発表する予定だ。
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(新聞「農民」2005.6.27付)
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[2005年6月]
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