二〇〇三年第二回全国委員会への報告(4/5)二〇〇三年十二月十日 農民運動全国連合会常任委員会
〔4〕新たな情勢に対応した組織づくりへの挑戦と、新聞「農民」を運動と組織の中心に据えて広げよう(1)新たな情勢に対応した組織づくりへの挑戦を新たな前進を切り開いている組織がある一方、農業つぶしの政治のなかでの離農などで、全体としては世帯会員の「減少」傾向が続いている現状にあります。 こうした状況から脱し、組織の前進に転ずるためには組織をあげた会員拡大の取り組みとともに新たな情勢に対応した多様な組織づくりの発展が求められています。
(1)生産と流通ルートづくりの運動を中心要求に据えた多様な結集を価格保障をなくし、関税引き下げによる自由化を押し進め、一握りの「担い手」に政策を「集中」させ、九五%の農民を農政の対象から排除する「構造改革」は、「担い手」の経営や、排除される多数の農民の経営と地域農業に重大な影響をもたらします。 今、農民連が、「担い手」と農政から排除される多数の農家の両方を視野に入れて地域で多様な実践を行い、生産要求と流通ルートづくりの運動を広げて組織を拡大する時です。 「集落経営体」や生産法人、グループの要求を大切にし、「準産直」や多様な運動への参加と加入を呼びかけましょう。
(2)生産を広げるうえで欠かせない女性や高齢者の力の結集と、女性部の強化を女性や高齢者の力を結集することなしに、地域の生産を拡大することはできません。個々の生産力は小さくても、地域全体では大きな力となり、直売所など地産地消の取り組みの中心はどこでも女性や高齢者です。「野菜を作って年金に上乗せしよう」「畑を遊ばせずものを作って売ろう」「パートに出るより割のいい野菜作りを」という呼びかけや話し合いを行いましょう。 こうした運動の先頭に立つ女性部をすべての都道府県、単組まで拡げることは決定的に重要です。女性部は、当面、会員の六割を女性会員として登録することをめざして運動を進めています。改めて「農民連に加入している世帯の構成員はみな会員」の立場で、女性や青年、高齢者をきちんと会員として評価し、組織的にも登録して力を発揮してもらいましょう。直売所や加工などで女性グループが頑張っている事例がたくさんあります。こうした人たちにもネットワーク的な視点から運動への参加と加入をよびかけましょう。 高齢者や、経営規模の小さい農家が加入しやすいようにするために、会費の減免制度を作ったり、基本額と産直などの利用割合に応じた会費の二段階制度を採用している組織があります。こうした会費のあり方も大いに研究しましょう。
(3)空白自治体への農民連づくり夏に取り組んだ全国組織調査によると、農民連の会員のいる自治体は全国の四割です。会員のつながりを生かしたり、他の民主勢力の協力もえるなど、空白自治体に会員と組織をつくる計画をもって空白克服を進めましょう。
(2)新聞「農民」の読者拡大と、新聞「農民」を先行した組織作り米屋さんへの新聞「農民」拡大が「準産直米」を進める大きな力になったり、読者の農業委員や地方議員が米や農業を守るたたかいで大きな役割を果たしています。 また、読者である農家が進んで農民連の会員になるという例も少なくありません。ルートの拡大や運動、組織づくりは、「まず新聞『農民』の普及から」という位置づけを持ち、新聞「農民」の読者拡大をあらゆる運動に先行して取り組みましょう。当面、この春に、全国三万人の読者を達成し、五万人、十万人の峰をめざし、すべての都道府県と単組が積極的な目標をもって取り組みましょう。
(3)後継者対策と青年部の強化をどこの地域でも後継者の確保は差し迫った課題となっており、新規就農者支援事業を実施する自治体や、農業会議・農業委員会もそれぞれ努力しています。また、長野県の「里親制度」など、他階層や都市勤労者の新規参入を促して農家が技術指導したり、「アグリサポーター」などの支援事業も各地で行われています。 農家の後継者を支援・激励して後継者として定着させるとともに、新規参入者の経営を支援するシステムの実現を自治体に働きかける取り組みを強めましょう。 青年部は、こうした取り組みの先頭にたつとともに、青年の要求や感覚を大切にして青年部への参加を呼びかけましょう。どんなに会員現勢が小さい組織でも、青年部は農民連組織に不可欠な存在です。すべての都道府県と単組に青年部を確立しましょう。
(4)県連の果たす役割が決定的に重要鹿児島県連や熊本県連など、会員数の多くない組織が、役員会や事務局会議を定例化させ、役員と専従者が団結して、要求運動と会員・新聞「農民」読者の拡大を前進させている経験は、県連の役割の大切さを示しています。 また、新任の熊本県連の専従者が、短期間に七つあるすべての単組に足を運んで要求や実情をつかんで激励し、生産や直売所への参加を農家によびかけ、会員拡大の先頭に立っている奮闘も、専従者のあり方として教訓的です。 こうした経験に学び、すべての都道府県連が会議の定例化と学習、議論を大切にして民主的に運営する努力を強めましょう。農民連運動を担う専従者や役員の後継者づくりも重要な課題です。若くて将来性のある青年を抜擢し、学習の援助やさまざま運動の先頭に立って奮闘してもらい経験を蓄積する努力を強めましょう。
(5)財政について本部財政再建に向けた二年目の取り組みは、全国の奮闘と経費削減の努力、長期間にわたって滞納を抱えている組織を含めた当年度の納入の改善が進み来年の早い時期に解決できるメドがついたことは大きな前進でした。引き続き、財政の厳格な執行や対策を強めます。 今後、情勢や要求に対応した体制の確立や、本部事務局の機能強化が求められています。会員の拡大と、財政のウエートの大きい新聞「農民」の読者拡大が本部と都道府県連の財政強化の要です。財政的視点からも計画的な会員と読者拡大を前進させましょう。
(6)全国研究交流集会、専従者研修会などについて全国研究交流集会は、参議院選挙前の開催をめざしている「国際シンポジウム」(三〜四月をめどに)と抱き合わせて開催することを前提に調整します。また、専従者の学習と交流を中心にした専従者研修会を八月二十八〜二十九日の予定で開催します。 ブロックで励まし合いながら運動を進める努力を引き続き行いましょう。二カ月に一回開かれる常任委員会と、ブロック会議の開催をサイクル化して定着させる努力を行いましょう。都道府県連やブロックのなかで全国委員の位置づけを明確にして運動をすすめましょう。
(新聞「農民」2003.12.22付)
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[2003年12月]
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