二〇〇三年第二回全国委員会への報告(1/5)二〇〇三年十二月十日 農民運動全国連合会常任委員会
はじめにアメリカいいなりのイラクへの自衛隊派兵のねらいや、小泉「改革」による大企業中心主義が国民の暮らしと平和を脅かしています。農業では、食料の外国依存と大企業支配を強める農業版「構造改革」、その第一段である「米改革」などの悪政に加え、米の不作や野菜・果樹価格の大暴落、台風や地震被害など、農民にとって激動の一年でした。 こうしたなかで農民連は、「米改革」をはじめとした農業破壊政治と果敢にたたかい、生産を広げる取り組みを前進させ、多くの農民や国民の期待を広げてきました。 全国の仲間や民主勢力の募金で分析センターに重金属に対応できる機器の導入も実現させることができました。多くの困難のなかで新たに仲間を迎え入れ、組織を前進させている経験が生まれていることも貴重な成果です。 二〇〇三年第二回全国委員会は大会の開催を二年に一回にしたことにともない、第十五回大会の折り返しという地点で情勢に対応した方針を補充し、必要な予算の見直しを行い二〇〇四年度の運動と組織を情勢に見合って前進させる意志統一をはかることが目的です。
〔1〕総選挙の結果からくみ取るもの(1)結果について第四十三回衆院選挙では、自民党が今回も過半数を割り、公明党との連立によってかろうじて小泉内閣が継続することになりました。 今度の選挙は、「政治を変えたい」という国民の願いが高まるなか、危機感をもった財界が直接、乗り出して消費税大増税と法人税減税、憲法改悪や農産物のいっそうの自由化などを迫り、財界の要求に応える政党に政治献金を再開して“政界を買収”するという新たな状況のなかでたたかわれました。 こうした財界戦略のなかで、自民党と新民主党が悪政を競い合い、マスコミを動員した「自民か民主か」の保守「二大政党」による「政権選択」という異常なキャンペーンによって本質が覆い隠され、「政治を変えたい」という願いが民主党に集中する結果になりました。小選挙区を中心にした選挙制度の弊害も悪政推進勢力が多数となった要因です。 選挙結果から顕著なことは、自民党が様々な選挙対策を弄したものの、選挙活動でも得票でも、公明党抜きには存続できないところまで退潮していることです。「二大政党による政権選択」は、自民党に対する批判がどんなに高まっても財界中心の利益を保障する政治を継続するための延命策であり、支配体制そのものの危機の現れです。
(2)国民に背を向け る政治は必ず破綻する選挙後、消費税増税キャンペーンやFTA(地域自由貿易協定)による自由化、戦闘がエスカレートしているイラクへの自衛隊派遣のねらいなど、国民の暮らし、平和を脅かす政治が続いています。こうした国民の利益に背を向ける流れは、多少のジグザグがあっても、いずれ破綻せざるをえません。 国民の八割がイラクへの自衛隊派兵に反対し、消費税増税に反対する世論も大きく高まっています。従来、自民党の支持基盤であった会員が一万人に満たない養豚協会が、メキシコからの豚肉の自由化に反対する署名を五十万筆も集めました。福島県の農業委員大会では、自民党への不支持決議を求める発言まで飛び出しています。 選挙後、日本農業新聞が農業県での投票率の低下を指摘し、これがFTAや米問題などに対する農民の不満や、将来を見通せない状況の結果であり、また、従来の自民党支持者が、民主党に乗り換えることをためらった結果だと報じています。自民党と民主党が、FTAや農民のリストラを競い合っているもとで「政権選択」を迫られても選びようがなく、棄権せざるをえないという農民の不信の高さをまざまざと示しています。 こうした事実は、「二大政党」の基盤がいかに浅いものであるかを示しており、けっして長続きするものではないことは明らかです。 農業や国民の暮らしを守る勢力が国会で減少したことは残念ですが、多くの農民の要求という点でも世界の流れという点でも、農民連の掲げている方向は農民の多数の声を代表しています。国会の力関係だけみて惑わされることなく、大局にたって国民のたたかう力、農民のなかでの農民連の影響力を大きくすることが求められています。 来年七月には参議院選挙がたたかわれます。日本の政治と社会、国民の食糧を守り、農業を再生する道の選択をめぐる激烈なたたかいが続きますが、要求にもとづいた運動を草の根から広げ、国民のたたかう力を強めるために全力をあげましょう。
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(新聞「農民」2003.12.22付)
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[2003年12月]
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