農業つぶしの「米改革」許さない食べたい食べてほしい本物の米(5/5)
お米屋さんの収穫祭「作る人の顔が見えるお米を消費者に」と、準産直の運動にとりくむ農民連と米卸・米屋さんは十一月二十八日、収穫祭を開催。各地の農民連がきりたんぽ鍋など“ふるさとの味”を持って、東京、神奈川の四軒(五店舗)のお米屋さんにかけつけました。ペッタン、ペッタン、おもちをつく音が響き始めると、降りしきる雨にもかかわらず、どの店先も大にぎわい。冷害のなかでも、まごころ込めて育てたおいしいお米を届ける生産者とお米屋さんの結びつきをアピールしました。
農家と客の交流大いに八王子市関山米穀店○…「今年も楽しみにしてたのよ!」「うちも毎年来てるの」東京・八王子市の関山米穀店は今年で三回目。あいにくの豪雨にもかかわらず、試食券や抽選券を手にしたお客さんで列ができる盛況。大鍋いっぱいの合鴨鍋、六臼分のもちや醤油おこわがなくなりました。「うちは二十年以上前からずっと関山さんとこのお米なの。とにかくおいしいのよ」と言う主婦。列に並びながら「あなたたち新潟から来たの? まぁ。今年お米の出来がよくないんでしょ?」「僕ら農民連っていって関山さんとこで米を扱ってもらってるんですよ」など、交流も大にぎわいでした。 店主の関山博さんは、「お客さんがこのイベントを楽しみにしてくれていて、毎年やってねと言うんですよ。生産者の思いと、消費者の思いをつなぐのが米屋の役目。これからはそういう米屋が生き残っていくと思うんです。大手が米を一手に買い占められるような制度はおかしい、という声が米屋の仲間でも出ていますね」と話しています。
元気な秋田弁に誘われ東大和市山崎米店○…東大和市の山崎米店では、二店舗で。桜ヶ丘店には青森、秋田、福島、群馬、千葉から、芝中店には岩手、福島、長野、茨城から生産者がかけつけ、餅つき、そば打ち、野菜の販売などを行いました。桜ヶ丘店では、秋田の農家のおかあちゃん三人が、比内鶏などを材料にきりたんぽ鍋。元気な秋田弁に誘われ、初めて食べたお客さんは「おいしい、もう一杯ちょうだい」と満足顔。他の農家は、試食のご飯を食べるお客さんに、「輸入小麦のパンには農薬が残留している。ここのお米はおいしくて安心ですよ」とアピール。 芝中店では、福島・会津の農家五人がそば打ち。ひとめぼれに九種類の雑穀を混ぜたご飯の試食も行われ、常連のお客さんは「お米はこういうところのお米でないとダメ」と話し、他のお客さんに勧めていました。 お米屋さんとの交流会に初参加の茨城県農家、佐伯裕二さんは「ふだん消費者と交流する機会はないので、お客さんと話をするのはなかなか楽しい」と話していました。
つきたてモチに長い列日野市滝瀬商店○…「私は三十年来、このお店で買っているの」とお年寄りが買い物カゴを押して立ち寄る日野市の滝瀬商店。つきたて餅には常連さんらが長蛇の列をつくり、新鮮野菜も飛ぶように売れていきます。試食用の一口大のご飯を用意した宮城農民連のササニシキは百十キロを一日で売り上げました。収穫祭の盛況ぶりは、お客さんと心を通わせて、本物の味を届ける同店の姿勢を物語っています。「農民連のみなさんが一生懸命作ってくれたお米なので、こちらも強く推すことができる」と、支店の百草店をあずかる専務の滝瀬●(ただし)さん。宮城農民連の鈴木弥弘事務局長は、「お米屋さんがこうやってがんばっていることを仲間に伝えたい」と話します。 たくさんの旬の野菜を持って駆けつけた茨城・常陸野農民センターの内田礼子さんも「私たちのお米を待っていてくれるお米屋さん、そのまわりにたくさんのお客さんがいることがわかった」と満足そう。滝瀬正幸社長は「みなさんから元気をもらい、久しぶりに感動している。来年はぜひ本店でやってほしい」と語っていました。
いつもお米はこの店で川崎市関口商店○…「いつも関口さんのお店でお米を買っています」という五十代のお母さん。二年連続しての収穫祭とあって常連客をはじめ子ども連れの若い両親などが冷たい雨の中でも次々に訪れました。神奈川県川崎市高津区の関口商店には、北海道、福島、富山、千葉、神奈川の各県連と城南食糧の二人が参加。千葉県連の椎名正男さん夫妻は、娘と孫の協力を得て、三代勢揃い踏みの販売活動。 幼稚園に来年入園する幼児を抱えながら餅つきを見せていた若い父親は「新鮮でおいしい物を食べさせたい」と話していました。つきたてのお餅は、子どもたちに大好評。 「雨で大変ね」と言いながら、ダイコンなど野菜をたくさん買った六十代のお母さん、また、赤カブやダイコンの漬物などを試食し「おいしい」と買い求める主婦も。 関口商店の関口幸雄社長は「雨の中でも収穫祭がにぎやかにできました。今後もよろしく」と農民連の参加者に感謝の言葉を述べました。
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(新聞「農民」2003.12.15付)
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[2003年12月]
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