目を見すえて、しっかり鑑定しよう日本の農業を守る党は 破壊する党は
農産物輸入自由化にどんな態度をとった?日本農業つぶしの大もとは、自由貿易一辺倒で、アメリカと巨大企業の利益優先のWTO(世界貿易機関)です。九月にメキシコで開かれたWTO閣僚会議では世界中の民衆と発展途上国政府の協力で、これ以上自由貿易を進め、農業をつぶすやり方に「待った」がかかりました。これが世界の流れです。
日本共産党WTO協定の改定と食糧主権回復を主張ところが、各党の「マニフェスト」を読んでみると、日本共産党だけが「食糧主権」(農業生産を維持し、食糧を安定確保する権利)にもとづいて、WTO農業協定を改定すること、とくに日本の米を自由化の対象からはずすことを明確に主張しています。
自民党自由化と輸入拡大に「積極的に貢献」自民党は、WTO「交渉の合意に向け積極的に貢献」する、「積極的にFTA(地域自由貿易協定)を推進する」と公約しています(「小泉改革宣言」)。ここには重大問題が二つあります。
財界の利益だけ考える党(1)小泉首相はAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で、メキシコでつぶれたばかりのWTO議長案を「基礎」にして交渉することに賛成しました。 米の関税大幅引き下げか、ミニマム・アクセスの拡大かの“地獄の選択”を迫る議長案を「基礎」にして「合意に貢献する」――これでは、米輸入の大幅拡大と自由化に「積極的に貢献する」ことにならざるをえません。 (2)日本から大企業の工業製品輸出を増やす見返りに、豚肉やオレンジジュースの輸入を大幅に増やす――これがメキシコとのFTA交渉のねらいです。しかも、メキシコ産の豚肉もオレンジジュースも、アメリカの巨大企業が牛耳っています。 日本農民対メキシコ農民の対立どころか、日本とアメリカの大企業の合作による日本農業つぶしです。こういうFTA交渉を「積極的に推進する」――自民党が財界の利益だけを考えている政党であることは明らかではありませんか。
民主党・公明党自民に劣らず自由化推進の旗を振る一方、民主党・公明党の公約には、WTOの“W”の字もありません。 民主党の二枚看板の政治家が、米輸入自由化とWTO推進にことのほか熱心だからであり、公明党は、日本の政党としては初めて“外米大好き”を公言した党だからです。 一九八九(平成元)年から九一年まで自民党幹事長だった小沢一郎氏が、米輸入自由化交渉に暗躍したのは有名な話。 自民党政権がレールを敷き、「非自民」の細川政権が九三年に米輸入自由化を受け入れ、村山政権が九四年に国会でWTO協定承認を強行――という“流れ作業”で進められました。 この当時、菅氏は「さきがけ」政調会長と厚生大臣、小沢氏は新進党幹事長。また、公明党や、社民党と民主党の前身である社会党も「裏切者!」という批判をあびながら米輸入自由化を強行した張本人です。 そしていま、農業を「荒波に放り込まなければいけない産業」(民主党・前幹事長代理)などといって、いっそう輸入自由化を進めることを大前提に、米生産の“リストラ”を進める――日本農業つぶしの黒幕であるアメリカと財界いいなり政治の枠内の政党に、日本農業の将来をまかせるわけにはいきません。
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(新聞「農民」2003.11.3付)
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[2003年11月]
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