安全でおいしい国産小麦をもっと食卓に自給率なんと11%だって
埼 玉県内産の小麦を学校給食のパンに世論と運動の高まりで成果「埼玉産小麦で作ったパンを食べたらたいへんおいしかった」「輸入小麦は子どもたちの成長過程における残留農薬の心配がある」――。参議院の食品安全基本法の審議で日本共産党の吉川春子議員の質問に、谷垣禎一国家公安委員長と太田豊秋農水副大臣が答えました。十年前、農民連と食健連が「安全な国産小麦のパンを給食に」と要請したときには、「国産小麦でパンはできない」と冷たく回答した農水省や文部省。しかし、この間の運動と世論の高まりが政府の態度を変えたと実感しています。 埼玉食健連は、WTO協定批准の年、「生産を抑制するWTOは必ず破綻する。学校給食に地場の農産物を使わせる運動にとりくもう」と決意。その手はじめとして具体化したのが、残留農薬の危険性が指摘されていた輸入小麦を使ったパンでした。 ところが県や政府はこれにまったく耳を貸さなかったため、それならばと自分たちでパン屋さんを探し、農民連の小麦粉で試作品を作ってもらい駅頭で約千個のパンをチラシとともに無料配布。その直後から、県や市町村に「給食パンには農薬が入っているのか」「おいしいパンが県産でできるのに、どうしてやらないのか」などの問い合わせが相次ぎ、県の姿勢を「前向きに検討する」という方向に変えました。 その後、農協の協力も得て、二〇〇〇年四月に「さきたまロール」が誕生。さらに「セサミバーンズ」「さきたまライスボール」といった新製品も加わり、今年は県全体のパン給食の半分が、県内産小麦一〇〇%に切り替わる計画です。 また県は毎年、七十万人の県内小中学生に「さいたまの農畜産物が給食にたくさん使われているよ」というチラシを配布。これが、父母に手渡され、県民合意の世論づくりに一役買っています。 (埼玉農民連 松本慎一)
東京・立川など各市でも東京では立川市、府中市、稲城市などが、国産小麦一〇〇%のパン給食を実施しています。立川市は、九九年に学校給食食材を全面的に見直しました。同市の食材規格表の「穀類」の項目は「原材料は国内産であること」と明記しています。「安全性を第一に考えた結果です」と学校給食課の渡辺博課長。しかも同市のパンは、当日の朝焼き上げたもので、児童はもちろん、「試食会で食べた保護者からもたいへん好評」だそうです。 立川市と府中市の学校給食にパンを納める市松食品の宮崎宗一郎専務は「国産小麦は収穫時の天候で水分量が変わるので毎日微調整をして対応している」といいます。また稲城市は、都学校給食会が供給する国産小麦を使用。都は今年から学校給食実態調査に新たな項目を加えて、年内には結果をまとめる予定です。
(新聞「農民」2003.8.11付)
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[2003年8月]
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