関税率の大幅引き下げ、ミニマム・アクセス拡大ねらうWTOモダリティ1次案は撤回を!(2/2)
自由化はアメリカの露払い 十年前の米自由化反対なみの運動をハービンソン提案とは別に、アメリカとオーストラリアなどは、関税を一律に二五%未満にすることを提案しています。そうなれば、外米価格は十キロ二千円以下。これはほとんど完全自由化水準です。
関税化はアメリカの成果、後は関税を下げるだけウルグアイ・ラウンド当時にアメリカの通商代表と農務長官を連続して務めたヤイター氏は、WTO発足直後の一九九七年五月、巨大アグリビジネス企業のセミナーで次のように勝利宣言をしました。 「関税化によって非関税障壁を関税に転換した結果、関税はしばしば信じがたいほど高いものであったが、これは非常に大きい成果であった。われわれは少なくとも、関税の引き下げ交渉が行えるような立場に追い込んだのだ」 そしていま、アメリカは「最終的には関税の撤廃が目標」だと豪語しています(ゼーリック通商代表)。 「一つ譲れば二つよこせ。二つ譲れば根こそぎよこせ」がアメリカの伝統的なやり方。 日本など農産物輸入国を関税化に「追い込み」、一時だけ「高関税」を許容しておいて、あとでバッサリ関税撤廃を強要するこういうやり方を許さないためにも、アメリカの“露払い”というべきモダリティ第一次案を許さない運動がどうしても必要です。
大丈夫か?日本政府農水省は今のところ、「モダリティ第一次案は総体として受け入れ難い」「多くの重要な点で修正を必要とする」(大島農相)という立場です。 しかし、二月十四〜十六日に開かれたWTOミニ閣僚会議では、アメリカが第一次案を「交渉の出発点」として位置づける共通認識を醸成すべきだと迫りました。「無理に第一次案の位置づけを決める必要はない」という意見を表明した国もありましたが、議長を務めた川口外相は「共通認識を作ろう。第一次案は交渉を進めるための『触媒』としたい」と提案し、合意に達したといいます。 「触媒」とは「化学反応を速めるための物質」(広辞苑)のこと。「総体として受け入れ難い」はずの第一次案が、なぜ「触媒」なのか? 農業つぶしの「触媒」を使って交渉を速めるつもりなのかといわざるをえないではありませんか。
WTO協定の抜本改革を「WTO農業協定は途上国と先進国の両方で家族経営農家の消滅を招き、農村をますます貧困にしている」「食糧主権にもとづき、家族経営を基本にした食糧生産を」(昨年六月、ローマで開かれた「食糧主権のためのNGOフォーラム」の宣言)。世界中の農業が共存できるようにWTO農業協定を抜本的に改定することは、いまや世界の流れです。私たち農民連は次のような抜本的改定を提案します。
(1)農産物自由貿易主義の転換を
ストップ!ストップ!WTO「ストップ! ストップ! WTO」――大きな声で唱和しながら、“WTOの亡霊”を先頭に、一斗カンを打ち鳴らす青年たち。二月十六日に行われた「WTOは誰のため? 東京行動」では、買い物客でにぎわう銀座の街に元気な声がこだましました。 隊列の先頭に立っているのは、都内の大学に通う高橋良平さん(25)。友人たちと、「貿易の自由化による貧困の拡大に反対する学習会などを開いている」といいます。 思わぬパフォーマンスに足を止め、チラシを受け取った若いカップルも「やっぱり国産がいいですね。外国産は安全かどうかわからないから。八百屋をやっている叔父さんも『国産がいい』と言っていました」と話してくれました。
(新聞「農民」2003.3.3付)
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[2003年3月]
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