「農民」記事データベース20030303-576-07

農民連、産直協、畜全協が政府交渉

固定資産税の引き下げをBSEの万全な対策を

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 農民連、産直協、畜全協は二月十九日、固定資産税の評価替えの年に当たって、固定資産税の引き下げを行うよう総務省と交渉しました。農民連の佐々木健三会長をはじめ、北海道や福島、茨城、群馬、東京、神奈川などから十五人が参加。総務省からは固定資産税課の担当者が応対し、日本共産党の春名眞章衆院議員が同席しました。

 いま各地で、高い固定資産税によって営農の継続が困難になる実態が広がっています。和歌山市では三ヘクタールの農地に二百万円の固定資産税をかけられ、松山市では十アール一万八千円の標準小作料を七万円も超えて課税されています。佐々木会長らは、こうした実態を示して、「農業収益を基本に農地は農地として評価し、固定資産税を引き下げよ」と要求しました。

 また標準小作料を上まわる固定資産税については、最高裁が「固定資産税の増加を理由に、小作料の増額を請求してはならない」と判決していること、市町村長は標準小作料を上まわる固定資産税を減免できることなどをあげて、国が減免を指導するよう要請。これに対して総務省側は、市町村長に減免の権限があることを認めました。

 続いて、畜舎、堆肥舎、農業用倉庫などへの課税の実態を追及。これらの施設は国の通達で「一般社会通念上家屋とは認められない……課税客体とはしない」と明記されているのに、実際には各地で課税されています。群馬県の畜産農家は、下流住民の飲料水を汚染させないために二千万円をかけて処理施設を作ったところ、千七百万円もの評価で県の不動産取得税がかけられ、さらに固定資産税も取られようとしています。こうした事例を示して、非課税を徹底するよう要請しました。

 政府はいま、畜産農家に厩肥処理施設の設置を義務づけた家畜排泄物処理法の本格施行に向けて(〇四年十一月)、補助金を出して堆肥舎などの建設を進めています。参加者は「畜産農家は、地域住民の健康や環境を守るために処理施設を設置している。こうした施設に課税するのは問題だ」と強く要求しました。

◇   ◇

 総務省に引き続いて行われた農水省との交渉では、BSEの万全な対策と畜産物価格の引き上げを要求しました。

 農水省は、「役割を終えたものは終了する」として、今年四月から「BSE特別マル緊」などをやめようとしています。

 これに対して参加者は「乳用種の肥育は、今でも約十五万円の赤字だ。BSEマル緊がなくなればやっていけない」「感染源の究明もできていないのに、何で『役割を終えた』などと言えるのか」と存続を求めました。

 さらに農水省は、BSE対策で貸した「つなぎ資金」を来年度と再来年度の二年間で返済しろと要求し、それができなければ別の融資制度に借り替えさせるといいます。

 「BSEの被害は甚大で、北海道では借入額が一億円を超える農家もいる。返せるわけがない」と野呂光夫・北海道農民連書記長。「BSE発生を許した農水省の責任を真摯に受けとめよ」「農家の立場に立って施策を行え」と要求しました。

 また交渉では、感染源の徹底究明と擬似患畜の範囲の見直し、死亡牛も含めた全頭検査やトレーサビリティを実施するにあたっては農家の負担にならないようにすることなどを要請しました。

(新聞「農民」2003.3.3付)
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2003年3月

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