農民連第十五回定期大会決議(案)
IV たたかう主体的力を――組織の拡大と新聞「農民」の購読を広げよう
1、ますます重要になる農民連の役割今、最も問われていることは、私たちがどんな志を持つかです。第十四回大会で「広がる期待や果たしている役割に比べて農民連の組織があまりにも小さすぎる」「農民連組織を拡大するスピードがそのまま日本農業の動向を左右する」と指摘しました。今日、この指摘はますます重要になっています。 農民連のたたかいは、多くの農民に共感を広げ国民の中に農民連の存在を広く知らしめました。マスコミの注目も空前のものがあります。都道府県や地域、組織の大小に関わらず、農民連の旗を掲げている組織への期待は一様です。組織が小さすぎることはもはや許されません。新たな前進に向けて、全国が一丸となって奮闘しましょう。
2、情勢にふさわしい組織改善を行い、新たな前進に挑戦しよう農民連結成以来の十四年は、激しい農業つぶしとのたたかいの連続でした。攻撃のなかで、存続が危ぶまれている農民団体さえありますが、農民連は、多様な結集をはかる方針を発展させ、組織現勢と影響力を広げてきました。これを確信に、一人ひとりの会員の自主性・自発性に依拠し、さらなる前進へ全国あげて挑戦しましょう。 農民連が組織を前進させるうえで克服・改善しなければならないことは次の諸点です。 (1)全国や都道府県連の方針が一人ひとりの会員に伝わらず、運動が役員や中心的な活動家の奮闘にとどまっていることです。その最大の障害は定期的に集まって話し合うことが少なすぎることです。集まって学習し、全国や県の経験をもとに自由に話し合うことが運動の出発点です。 (2)都道府県連の構えと機能強化が全県的な組織発展にとって決定的に重要です。地域でどんなにすぐれた活動があっても、県連がこれを教訓化し、旗を振らなければ前進できません。農民運動のリーダーである都道府県連の役員が、単組や支部・班と一緒になって活動しましょう。 (3)単組や支部・班を地域の単位として、地域の農民の要求や条件をくみ上げ、まわりの農家を誘って楽しくいきいきと活動する組織として発展させましょう。 (4)都道府県連や単組、支部・班に至るまで学習を軸にした組織運営を強め、確信をもって活動に取り組めるようにしましょう。 本部として学習や組織交流、専従者研修などのイニシアチブを強めます。
3、「農業で頑張る人を増やす」――大志ある目標を掲げ、組織拡大に挑戦しよう
(1)条件はあっても、要求運動を軸に独自の拡大の取り組みがなければ組織は増えない農業をめぐる重大な事態が進行しているなかで農民の失望は深いものがあります。こうしたなかで、全国センターをもち、仲間と団結して生産を広げ、支えあって活動している農民連は、農民にとって光り輝く存在となっています。 この間の全国の経験はもの作りや産直、ルート作り、税金など、農民の切実な要求に根ざした運動を大きく広げるなら、農民を結集できる客観的条件が広がっていることを示しています。全農民を対象に要求運動を前進させる手立て、会員が手分けして身近な仲間を要求運動に誘うための手立てをしっかりとりながら、そのなかで拡大を独自に計画的に進めることが重要です。 都道府県連と単組が、「決めた目標は断固やりきる」という確固とした立場に立ち、拡大運動に挑戦しましょう。
(2)影響力をもった組織に前進する大志をもち、すべての市町村に支部・班をつくろう全国的な組織の前進をかちとるうえで、一定の段階まで前進したものの、その後の前進がつくれず、一進一退をくりかえしている四ケタの組織の飛躍は決定的です。また、結成以来十数年を経過した現在、ほとんど組織現勢が変わらなかったり、百人やそれ以下にとどまっている組織が、全国の経験に学んで、一大奮起することを強くよびかけます。こうした組織への本部の援助の強化とともに、ブロック内で「とも育ち」の観点で援助しあいましょう。 千人台の組織は二千人、三千人の組織へ、千人以下の組織は千人台を超える組織へ、さらに小さい組織は、最低限五百人を超える組織をめざし、すべての市町村に支部・班をつくる具体的な計画をもって組織拡大に取り組みましょう。
4、新聞「農民」の拡大と紙面づくり
(1)ますます高まる新聞の役割全国の涙ぐましい努力によって支えられている新聞「農民」は、紙面改善の努力を強め、技術問題や幅広い話題の提供など、より親しみやすい紙面として歓迎されています。また、この一年の取り組みのなかで、寄せられる通信が増えていることも紙面の充実に大きく貢献しています。 「米改革」など、農政の重大な内容について、一般マスコミや業界紙が批判的な記事をほとんど書かないなかで、新聞「農民」を読まなければ農政の本当の動きが分からないという状況がますます広がっています。 食の安全に対する関心が高まっているなかで、行政やマスコミが新聞「農民」の紙面に注目していることも特徴です。
(2)運動と組織、財政の基盤としての読者拡大を農民連の機関紙である新聞「農民」は、仲間の連帯や団結を培い、全国の仲間を結ぶべルトとしての役割を担っています。同時に、今日の食をめぐる国民世論が、新聞「農民」の存在なくして 実現できなかったように、食と農を守る国民合意を広げる最も中心的な役割を果たしています。多様な政治的立場に立つ農業委員や議員が奮闘して、農民連がよびかけた政策的立場で建議や意見書が採択されるという例が全国に広がっていることも新聞「農民」の威力を示す例です。 また、十数名で発足した新潟県西蒲原農民連が新聞「農民」の拡大に粘り強く取り組み、要求運動へのお誘いや対話を通して四十数名の組織に前進していることは、新聞「農民」が組織のすそ野を切り開く確かな力であることを示しています。 こうした経験に学び、すべての組織が会員の数倍の読者をもち、全国的には早期に五万人の峰をこえるための奮闘を呼びかけます。
5、女性会員を増やし、すべての都道府県連と単組に女性部を朝市や直売所、加工など、生産のあらゆる場面で、女性の参加しない運動は成功しないというのが全国の教訓です。税金など、多様な要求運動、消費者との交流、支部・班活動でも、女性がいきいきと参加している組織では活力がみなぎっています。女性が主役として大いに力を発揮することが、農民連運動の前進にとって欠かせません。 「会員の母ちゃんはみな会員」の立場で、会員として正しく評価し、運動への参加を広げましょう。女性部をすべての都道府県連と単組につくるために組織をあげて取り組みましょう。
6、後継青年への働きかけを強め、青年部作りを広げよう農業破壊攻撃は、農業に夢をはせて就農した後継青年の前に立ちはだかり、困難と失望をもたらしています。こうした青年に働きかけて運動への参加を促し「農民連と一緒に農業で頑張ろう」と呼びかけましょう。 勤めていて仕事の合間に農業を手伝う農家の青年も立派な後継者です。こうした青年と結びつきを強めましょう。 後継青年を確保することや、青年部の運動を前進させ、強化することは組織の存立を左右する課題であるだけに、青年だけでなく組織全体で挑むべき課題です。青年会員や青年部員の意欲や創意、感覚を大事にしながら、青年会員の拡大、青年部づくりを組織全体で進めましょう。
7、たたかいと組織を支える財政の強化・確立について前年の成果や教訓をふまえ、情勢の要請に機敏にこたえるための必要な体制を確保しつつ、節約につとめ「財政三カ年計画」の二年目、三年目の取り組みを確実に前進させます。 会員拡大、特に新聞「農民」の拡大が、本部にとっても、都道府県連にとっても決定的に重要です。財政の面からも全国の力を集中して「新聞『農民』五万部」の峰を早期に達成するために全力をあげましょう。 都道府県連の財政確立も、県センターの役割を発揮するうえで重要な課題です。厳格な予算と執行、月単位の財政の集団的検討、あらゆる活動に財政の観点を貫くことなど、本部の教訓は、都道府県連にとっても重要な教訓です。
8、規約改正について今大会に「規約の一部改正案」を提起します。その中心は、毎年開催している定期大会を隔年の開催に改めることです。その理由は次の点にあります。 (1)一年単位の活動では大会方針の徹底や実践が十分できないまま、次の大会を迎えるため、生きた総括や教訓化が難しいのが実情です。二年のスパンで全国運動を展開してより生きた方針を確立できるようにするために隔年開催にしたい――これが第一の理由です。 (2)第二の理由は、全国的に英知を結集し、運動や組織を前進させるうえで、規約で「大会に次ぐ決議機関」と位置づけられている「全国委員会」を規約どおりに機能させるためです。 全国委員会が大会方針に責任をもつ機関として年数回の会議を開いて討議し、全国委員が都道府県連やブロックと連携し、全国的視野に立って運動の先頭に立つようにすることが求められています。 こうした改善を進めるうえで、一月の定期大会、八月の全国研究交流集会という活動スケジュールは、物理的に全国委員会を開催することを困難にしており、大会を二年に一回開くようにすることで可能になります。また、ブロック交流集会の定着を踏まえ、毎年開催してきた全国研究交流集会を定期大会のない年に隔年で開くことにすることもあわせて提起します。
(新聞「農民」2002.12.9付)
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[2002年12月]
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