「農民」記事データベース20020304-529-07

「短角牛」で販売維持

神奈川の「湘南ぴゅあ」


 神奈川県にある(株)湘南ぴゅあは、自家生産の豚肉、ハム・ソーセージなどの加工品に加えて、青森・七戸の短角牛を卸しています。BSE発生後の牛肉消費の低迷のなかでも、産地の情報を積極的にオープンにして販売を維持しています。

 「消費者に安全でおいしいものを届けるとともに、産地の村おこしにつなげる」と語る音成洋司社長。短角牛の販売は、四年前から月八頭のペースで続けています。BSEが発生し、十月の供給量は前年比で二五%落ちましたが、二頭目、三頭目の発生直後も回復を続け、年明けには、ほぼ前年水準に。その間、発生前の価格を維持しました。

 湘南ぴゅあの大きな武器は、産地の情報を毎月伝える「ぴゅあ通信」。「消費者との日常的な信頼関係を作ることがまず大事」と音成社長。さらにBSE発生の翌日には、産地の情報を取り寄せて販売先に届けました。

 「ふだん来られないお客さまも『ここなら安全ね』と買っていかれました」とは、七戸短角牛の販売店の一つ、マザーズ藤が丘店。

 「南部牛追い唄」にうたわれた南部牛が祖先の短角牛。地域の風土に合い、かつてはたくさん飼われていましたが、丈夫な胃腸が逆に災いしてサシ(脂肪交雑)が入らず、牛肉輸入自由化によって生産が激減しています。七戸畜産農協の中原護参事は、「短角の産直をやっていて本当によかった。短角牛の味をもう一度見直してほしい」と語っていました。


BSE問題でシンポジウム

富 山

 「食料と安全を考えるつどい」が二月十日、富山県小矢部市で開かれ、酪農家をはじめ肉屋さんなど約九十人が参加しました。富山農民連と日本共産党小矢部市委員会が共催したもので、BSE問題を中心に学びました。

 パネラーのJA富山厚生連の大浦栄次課長からBSEの問題点について説明があり、農民連の狂牛病対策本部事務局長の石黒昌孝さんは「畜産農家が安心して営農ができる環境づくりが重要だ。一九九六年のWHOの肉骨粉禁止の勧告を受け止め、対策をとっていれば狂牛病の侵入を防げた」と言い、農水省に損害請求を求める運動を紹介。また日本共産党の有坂哲夫農漁民局長は、四野党のBSE対策緊急措置法案について話しました。

 参加者から「食の安全を考えさせられた」「自分たちが口にしている食品がどこまで安心なのか、的確に言えなくなっているのではないか」などの感想が寄せられました。

(富山農民連 石崎清司)

(新聞「農民」2002.3.4付)
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2002年3月

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