「農民」記事データベース20000911-462-09

研究交流集会での特別報告 (3)

新婦人産直に多様化を「豆腐産直」がスタート

茨城県南農民組合 小林恭子

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 一昨年の「流通の変化に対応した産直運動の多様な探究を」という提起を受けて、私たちは「街づくり」について考えてみました。

商店街の変化で買い物が困難

 地域で街ウォッチングをしたら、団地でも大手スーパーが撤退して、お年寄りが買い物に困っているとか、商店街がシャッター通りになっているという状況が出てきました。

 一方で、新婦人産直の協議会では、開始以来十年たってお互いにマンネリも重なり、情勢の変化もあるなかで、「食べてくれない」「物が悪い」など、何となく気まずい協議会、あるいは険悪な状態にまでなっている状況もあるわけです。

 私は、もともと野菜ボックスそのものが自然ではないというか、かなり無理のある形態だと思います。というのは、生産者が旬の野菜を勝手に入れて食べてくれ、という形態ですし、お金も班長さんが集めて、場合によってはたてかえたり、冷蔵庫に入れておいたり、新婦人は本当に苦労して取り組んでくれています。

新婦人豆腐の日は店頭は人だかり

 こんな状況のなかで、新婦人のなかでもボックスだけではなくて、多様な産直を一緒に考えていったらと思ったわけです。

 いま、新婦人の方針にも「街づくり」が入っています。それで「商店街に野菜を入れてもらおう」とか、「豆腐産直などはどうか」という話を新婦人にしました。

 実はいま、新婦人の新宿支部と中野支部の二つで、豆腐産直が始まっています。出前出張で豆腐作りの講師をしているのですが、その新婦人の会員さんの中に豆腐屋さんがいて、「やってみよう」ということになりました。大豆三十キロを七千五百円でお豆腐屋さんに買ってもらい、売値は一丁二百円。新婦人で豆腐引換券を作って、毎月第三土曜日を「新婦人豆腐の日」として、その豆腐屋さんに買いにいくわけです。

 当日は、券と財布を握りしめてお店の前は人だかり、「新婦人でこんなこともできる」とすごく自慢げに娘や嫁を連れてきたという話があったり、「これは全国に広められる」という確信を持ちました。

街づくりを考え可能性を探求

 新婦人では「赤ちゃん小組」も大きな方針になっています。赤ちゃん体操や育児相談をしたりするんですが、会員が持って来るのがジュースや、湯をかけて食べさせる輸入品のベビーフードだそうです。

 これでは将来の子どもたちはどうなるんだろうと、赤ちゃん小組などに生産者も足を運んで、若いお母さんたちに食の安全性や、農業のことを知ってもらうよう、話をしていく取り組みも必要だと思います。

 新婦人産直でも、ボックスだけでキリキリやらないで、米屋さんに取りにいく産直とか、これまでとまったくちがう観点から「多様な探究」をしてみたら、もっとたくさんの可能性が開けるのでは、と提案したいと思います。

(新聞「農民」2000.9.11付)
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2000年9月

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