「農民」記事データベース20230320-1545-09

さあ統一地方選挙

農業と暮らし守る政治へ、地方から
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 コロナ禍やウクライナ危機などで農業が危機に立たされています。学校給食、肥料・資材高騰、酪農・畜産危機、消費税増税に伴うインボイス(適格請求書等保存方式)問題などで、住民の運動により地方自治体が住民の負担を軽減する施策を実施し、それが国政を動かす力になっています。各分野の施策と運動を紹介します。

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肥料・資材高騰対策

自治体の支援は営農を続ける力

運動で農家の要求が実現

 肥料や飼料などあらゆる資材が高騰するなか、都道府県や市町村では政府から配分された物価高騰対策の臨時交付金を活用して、コロナ禍と資材高騰に苦しむ農家への支援が行われる事例が全国に広がっています。

 政府は昨年9月、新型コロナ対応地方創生臨時交付金に、さらに6000億円の新たな交付金制度を創設。この交付金の推奨事業メニューには、農林水産業での価格高騰対策への支援も盛り込まれており、農水省はこの交付金を地方でさらに積極的に活用してもらおうと、肥料や飼料、資材高騰への農家支援など41にわたる活用推奨事例を紹介。

 全国商工団体連合会(全商連)付属中小商工業研究所が2月にまとめた「物価高騰の影響を受ける中小業者向け支援策実施状況調査」によると、農林水産業の分野では、「物価高騰対策支援」として38都道府県で実施されています。

 千葉県では肥料高騰への緊急支援事業として9月の補正予算で11億5千万円が盛り込まれ、秋肥から春肥として購入する肥料について、国の7割補てんに加えて、県でさらに2割が助成されることになりました。

 千葉県農民連は一昨年から、さまざまな課題でたびたび県要請を行いました。県下のすべての市町村議会に、資材高騰対策を求める議会請願を郵送で提出するなどしてきました。

 北海道では、地方創生臨時交付金約21億円を肥料高騰対策にあて、化学肥料1トンあたり3125円を農業者に支給。道内で67万トンの肥料が使われることを想定し、支援額を算定しました。

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資材高騰、交付金削減に負けないようにと作付け交流会を行いました=1月9日、北海道小清水町

 岩手県では、平泉市、矢巾町、一関市、奥州市などで、肥料価格への助成、新規就農者への補助などが実施されています。

 愛知県では、愛知農民連が資材高騰への支援強化などを求めて県に要請するとともに、地方議会への働きかけにも取り組みました。こうした運動が実り、単組のある豊橋市では、国の肥料高騰対策に加えて、市から5%、県からも15%上乗せ補助が行われました。

 山形県では、県の原油価格・物価高騰緊急支援給付金で個人5万円・法人10万円の支給が行われています。事業復活支援金の申請運動に奮闘していた庄内農民連では、「燃料・物価高騰で農業・漁業も大打撃! 給付金で事業継続を」と県の緊急支援給付金の申請相談に取り組み、会員を52人増やしました。

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(新聞「農民」2023.3.20付)
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2023年3月

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