「農民」記事データベース20230109-1535-10

生産する消費者が
地域の食と農を守る
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奈良県で進む多様な担い手づくり

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農園立ち上げた女性
2人本格的な野菜作りに意欲

福田弘子さんと山楓美さん

 「これ、本当に時間かかるんです」

 12月の冷たい風が吹く橿原(かしはら)市の田んぼ横の作業場。収穫したサトイモの土落としをする福田弘子さんと山楓美さん。産直センターなどから発注書が届き、いま毎週120キログラム強分を確保する作業に追われる日々だといいます。「間に合わへん」とそれぞれの空き時間を作業にあてます。

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出荷作業をする福田さん(左)と山浮ウん

 本格的な野菜づくりの経験がなかった福田さんと山浮ウん。それでも、米づくりを意欲的に手伝う2人を見た山尾さんが話を持ちかけ、3人で「すまいる農園かぐやま」という事業を立ち上げました。互いに数万円出資し、ほ場と機械は山尾さんが準備し、労働時間単価を定め、無農薬の有機でやる、と決めました。「私は作付け計画と機械担当で、草刈りも含めてほとんど2人でやられています」と山尾さん。

 1年目の昨年は2反ほどの広さでカボチャとサトイモを作り、カボチャは750玉を収穫。しかし平均重量が軽く、利益を出すまでには至らず、「このサトイモの出荷を何とか頑張れば年間収支ゼロかな。実際にやってみて、日本の農は大丈夫なの?」福田さんは話します。それでも2人の会話は軽快です。「根菜やればもうかるでって山尾さんが言うからはじめたのにな」「おかしいな」と笑います。

 福田さんは「植えた1つの種芋が大きくなってたくさん実をつけて、野菜の生命力ってすごいなと。ちゃんとそれを取って、皆さんにおいしく食べてもらいたい。それが原動力ですね」。山浮ウんも続きます。「一緒に作業した子どもが『これ、自分で食べる』と言ってくれたり、近所の方に『おいしかったよ』と言ってもらえるとうれしい」

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収穫した無農薬カボチャ

 山尾さんは言います。「高齢の人たちが農地を何とか耕している状態。各地域ですぐに担い手、自立した有機の農家を育てないと。今年は一気に5枚田んぼ増やして、サツマイモと秋ジャガやる予定。2人も規模拡大したい言うてますから」

 「言うてない!」「山尾さんの妄想や!」。2人の軽快なツッコミが入ります。

(新聞「農民」2023.1.9付)
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2023年1月

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