「農民」記事データベース20230109-1535-09

生産する消費者が
地域の食と農を守る
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奈良県で進む多様な担い手づくり

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様々な経験から育まれた
自分の食物は自分での思い

「みのりの里しらにわ」で働く
山下ひとみさん

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「しらにわ」で出荷したカボチャを持つ山下さん

 農民連直売所「みのりの里しらにわ」(生駒市)で働く山下ひとみさんは、野菜づくりをはじめて3年になります。「大切にしていることは、サステナブル(持続可能な)で超多様性」という山下さんに話を聞きました。

 幼少期に明日香や吉野の森や川で遊んだ山下さん。大学在学中に、父親の両親が経営するペルーのレストランに滞在。「ペルーの市場は地元産の多様な野菜が豊富に並び圧巻だった。自分も日本で何か育てたいと思うようになった」と話します。

 しかしこの頃は「農薬や化学肥料を使わないと日本では作物は作れないと思っていた」といいます。2018年に大学を卒業し、奈良市の飲食店で働く中で旬の食材や、生産者の営みに触れ、食べ物を自給する意欲を強くします。

 そして決め手になったのは「ありきたりだけど『奇跡のリンゴ』という映画を見て自然栽培を知り、こういう農業なら自分もやりたい!」と。そして縁あって自然栽培30年の畑を借りて野菜づくりをはじめます。

 「初めて取れた野菜は少なかったけど、するっと体に入ってきて感動した」。そしてコロナで不安定だった飲食店をやめた後、近所に直売所ができると知り「これだ!」と「しらにわ」のスタッフになります。自分で食べる野菜を中心に作りながら、少量多品目の旬の野菜を出荷する山下さん。「初めての出荷はドキドキ。自分ではおいしいけど、どうか大切に食べてもらえますように、と野菜への愛情が深まった」。今後は米作りや果樹にも挑戦したいといいます。

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畑で取れた野菜たち

 昨年10月の農民連アグロエコロジー学習会で発言をした山下さん。「初めて聞いた言葉だったけど、地域の潜在能力を生かす農業だと知り、気候変動の中で希望に感じた」と話します。

 最後に“超多様性”とは、「農業に限らず、生活の仕方や消費、教育など、視野を広げてそれらを大切にするアイデアを考えるのが楽しい」。

(新聞「農民」2023.1.9付)
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2023年1月

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