「農民」記事データベース20220627-1510-10

戦争より平和を、軍備拡大より
食料自給率向上を!
(3/3)

参議院選挙 3つの大問題が争点に

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食糧危機を打開するのか
さらに自給率引き下げか

 国連が「戦後最大の食料危機に見舞われている」と警告するほど、世界は食料危機に直面しています。日本でも「食べたくても食べられない」人々が増え、食品の値上げラッシュが続いています。

 穀物価格
 21世紀に入って3・4倍

 ロシアのウクライナ侵攻から4カ月、最も基礎的な食料である穀物の価格は史上最高を突破し続け、21世紀に入って3・4倍になりました(図4)。ウクライナ危機のもとで、食料争奪戦がすでに始まっており、お金があっても食料を輸入できない時代に突入したのです。

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 自給率37%
 世界で最も食料危機リスクが高い日本

 コロナ禍のもとで世界人口79億人のうち30%が飢餓と食料不足にあえいでいます。国連は5月、生命が緊急の危険にさらされている「急性飢餓」人口が21年に1億9300万人に達したと警告しています。

 これは決して他人事ではありません。

 食料自給率は世界最低水準の37%、肥料・飼料・石油はほぼ全面的に輸入依存の日本は、世界でも最も食料危機リスクが高い国です。

 農業生産を直撃
 肥料・飼料の値上げ

 肥料や飼料、石油など生産資材の値上げが相次ぐ一方、米や畜産物など農家の手取価格は大幅に下がるか横ばい(図5)。このままでは生産崩壊につながりかねません。

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 全農は今年秋の肥料価格を最大で94%、最も使われている高度化成肥料で55%引き上げ、農家に衝撃を与えました。自給率ほぼゼロの肥料原料の価格は穀物以上に高騰しており、世界的な「肥料危機」の中、安定的確保が危ぶまれています。

 生産資材の値上げや供給不安に対し、全国の自治体や農協が値上がり分の補てんなどの緊急対策に乗り出しています。しかし、政府は「適切に検討する」というだけ。

 今こそ次の対策を実施すべきです。

 (1)肥料――高騰分を農家に直接補てんする緊急対策を実施するとともに、肥料価格安定制度を作ること

 (2)飼料――高騰分の一部ではなく、全額を補てんする制度に改めること

 (3)燃油・資材――高騰分を農家に直接補てんする緊急対策を。

自給率向上・食料増産の農政に転換を

 ウクライナ危機のもとで、とくに自給率が低い小麦(15%)、飼料(12%)、大豆(6%)を増産することが求められています。しかし、岸田・自民党政権がやっていることはまったく真逆です。

 政府は昨年、突然、水田への転作補助金(水田活用交付金)の打ち切りを宣言しました。これは、(1)5年間、一度も米づくりが行われない農地は交付対象からはずす、(2)飼料用米をこれ以上つくるな、(3)牧草の補助金を3分の1にカットするというもので、米から小麦・飼料・大豆への転作に急ブレーキをかけ、37%まで下げた食料自給率をさらに引き下げる悪政です。自給率が36%にすぎない砂糖(てんさい)の生産抑制まで言い出しています。

 食料輸入大国・日本が、家族農業を中心に農業を再建し、食料自給率を向上させることは、世界の食料問題の解決のうえでも、地球環境の保全のうえでも、国際社会への大きな貢献であり、責任でもあります。世界的な食料危機のいま、農民と消費者が力を合わせて責任を果たそうではありませんか。

 私たちは要求します

 ◆食料自給率向上を農政の柱にし、そのための施策と予算を抜本的に拡充する

 ◆転作補助金(水田活用交付金)の打ち切りをやめ、米価下落対策を講じる

 ◆肥料、飼料などの万全な高騰対策を実施する

 ◆消費税を5%に減税し、インボイス制度は中止する

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(新聞「農民」2022.6.27付)
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2022年6月

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