「農民」記事データベース20210531-1458-07

国産米の需要を奪い米価の安定を防げる

ミニマム・アクセス米(MA米)は
廃止せよ
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コロナ「過剰」でも輸入削減はゼロ

 MA米は「輸入義務」ではない

 ミニマム・アクセスは本来「最低限の輸入機会の提供」であり、「輸入義務」ではないことは、国会論戦で決着済みです(1999年3月9日の衆院農水委員会での日本共産党・中林よし子議員への答弁)。「米は国家貿易品目だから輸入義務だ」というのは政府の強弁にすぎません。バターも9割以上を政府機関(農畜産業振興機構)が管理する国家貿易品目です。こんな屁(へ)理屈は通用しません。

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ミニマム・アクセス米の積み下ろし(横浜港)

 MA米とは?

 MA米が始まったのは26年前。95年に成立した世界貿易機関(WTO)協定は、農産物の特別扱いを一切やめて、農産物も工業製品も全く同列にして貿易自由化を強要する異常な協定です。

 その中でも異様なのが「ミニマム・アクセス」(最低限の輸入機会の提供)条項です。

 「ミニマム・アクセス」は、“貿易自由化の時代に、米を全く輸入しないなどということは通用しない。過剰で減反をしているとしても、日本の消費者が外米を食べたがらないとしても、一定量の米を輸入すべきだ”というアメリカが持ち出した理屈にもとづくものです。

 アメリカは「外米を日本の消費者が食べたがらないのは、日本政府が米輸入を禁止しているからだ。門戸を開放すれば、アメリカ米は必ず日本で売れる」と並べ立てて、MA米に2種類の制度を押しつけました。

 一つは、加工用や飼料用、海外援助用に輸入させる一般MA米です。もう一つは、主食用等に輸入させる「売買同時入札」(SBS)米です。

 これは“日本政府に任せておいたのでは、輸入米は主食として日本の消費者の口には入らない。だから監視し、完全自由化の予行演習としてSBSを導入させる”というアメリカの内政干渉の産物でした。

 「一定量」もこと細かに取り決められました。初年度の95年に国内消費量の4%(43万トン)を輸入することから始まって、2000年には8%(85万トン)まで毎年輸入量を増やすこと、そのうちSBS米は4万トンから10万トンに増やすことです。


 MA米の数量は86〜88年の米消費量(約1000万トン)を基準にしていますが、近年の米消費量は3割減の700万トンになっています。2001年以降は、交渉によってMA米をさらに増やすことも取り決められましたが、WTO交渉が99年に頓挫したため、中断しています。また、日本政府が98年に米輸入の「関税化」、つまり米を輸入自由化の例外としてきた政策を転換したため、現在のMA米輸入量は77万トン(7・2%)となっています。

(新聞「農民」2021.5.31付)
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2021年5月

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