国連「家族農業の10年」で食料自給率向上、
農林漁業の再生、
農山漁村をよみがえらせよう
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2020年1月17日
農民連全国委員会決議
(4)農民連食品分析センターを活用し、農産物総自由化とたたかおう
(1)機能が強化された分析センターへの高まる期待
多くの方々の募金によって導入したLC/MS/MS(高速液体クロマトグラフ質量分析計)で、グリホサートとネオニコチノイド系農薬の検査が可能になりました。グリホサートの残留実態の告発やネオニコチノイド系農薬の安全性をめぐる世界的情報提供を通じ、「国民の命と暮らしを守る砦(とりで)」としての分析センターへの期待が高まっています。
特に、学校給食のパンからグリホサートが検出された問題は、国会でも取り上げられ、輸入小麦の危険性に一石を投じた形となりました。こうした状況をお母さんたちや学校給食に関心を持つ人々に伝え、一緒に全国的な検査運動を進め、自治体に働きかけ、国産小麦の振興、米を食べる運動につなげていきましょう。
ネオニコチノイド系農薬の危険性が明らかになりつつあり、2019年産米から、ネオニコチノイド系農薬の全国的な検査運動を呼びかけましたが、相次ぐ台風・大雨の被害もあり、検査点数は伸び悩んでいます。ネオニコフリーを求める消費者は確実に増えています。しっかりと検査をして、その結果を分析し、消費者の期待に応える生産活動に生かしていきましょう。
農民連食品分析センターは、TPP11や日欧EPAなどに伴って急増している輸入農産物の安全性を確認するための独自検査を行い、結果を公表してきました。こうして、分析センターへの期待は大きく高まっています。
日米貿易協定が発効し、牛肉・豚肉の輸入急増が予想され、日本人の健康が脅かされようとしています。日本国内での使用が禁止されている乳がんの危険性がある成長ホルモンが、アメリカやオーストラリアでは許可されており、日本への輸入も認められています。分析センターでは、牛肉・豚肉の輸入を押し返し、国内畜産業を守るために、牛肉・豚肉の成長ホルモンの検査に挑戦します。
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山形県連の小林茂樹会長(右)から豪雨・台風災害への募金が福島、宮城などに手渡されました |
(2)分析センターの経営基盤強化のため、サポーター会員登録を進めましょう
数多くある食品分析機関のなかで、国民の食料と健康、日本の農業を守る立場で活動しているのは農民連食品分析センターだけです。この分析センターの経営基盤を強化することは、農産物総自由化路線とたたかい、食の安全を守るために不可欠な課題です。
2019年春から進めてきた「農民連食品分析センター強化募金」は、皆さんの大きなご協力で、目標には至らないものの前進させることができました。皆さんのご協力に感謝いたします。
サポーター会員制度に広範な消費者の皆さんからの協力が広がるとともに、農民連会員の登録が進んでいます。いくつかの県連や産直組織では、「組織で支えよう」と、一人一人の会員の会費に上乗せして、組織としてサポーター会員登録を行っています。また、ある産直センターでは、分析依頼を組織的継続的に行うために、出荷額の一定割合を検査費用の予算として確保する取り組みを行っています。
3000名のサポーター会員登録を成功させることを軸に、何としても分析センターの経営基盤強化を果たしましょう。サポーターの皆さんには、分析センターからより詳細な分析データや安全性をめぐる世界の情報を掲載した「分析だより」をお届けします。
分析センターに寄せられている期待に応え、分析センターを安定的に運営していくため、引き続き2020年3月まで「強化募金」に取り組みます。税金の自主申告運動で、多くの会員と顔を合わせる時期でもあります。正面から意義を訴え、目標を達成しましょう。サポーターの会員登録を軸に、さらなる奮闘をよびかけます。
【6】5年後10年後の農民連を次世代に受け継ぐために
(1)大会以降の組織作りについて
農民連は全国各地で、切実な要求を掲げ、農民の生活と権利、地域農業を守るたたかいを進め仲間づくりに努力してきました。この1年間で増勢した県連は、会員では北海道、山形、栃木、奈良、鳥取、広島、徳島、香川、長崎、宮崎の10道県連、新聞「農民」読者では栃木、千葉、鳥取、島根の4県連でした。全国の奮闘に敬意を表します。
一方、後退した県連のうちで、会員を1割以上減らした県連が8県連、新聞「農民」読者を1割以上減らした県連が5県連もあり重大です。高齢化による死亡、離農、経営移譲や、事務局体制の弱体化による対応力不足が原因です。
前進した組織の教訓は、農民の要求を高く掲げてたたかう農民連の役割がますます鮮明になっており、切実な要求で働きかければ必ず増える情勢にあることを明らかにしています。
一方で、残念ながら後退した組織では、働きかけが圧倒的に少なく、働きかける主体の力量不足があげられます。また、後退を重大に受け止め、減ったら取り返す気概が薄れている問題もあります。
(2)「5年後10年後の農民連をどうするか」の本気の論議で、積極的な戦略目標を
(1)農民連の組織の現状について
農家戸数と農業就業者が農民連結成時の約半数に減少しているなかで、各地の農民連組織の会員拡大の努力によって組織を維持し、地域で大きな役割を果たしていることは重要です。
同時に、多くの都道府県連が会員現勢を後退させ、財政が困難になっています。一部県連では専従者を配置できなくなるなど、様々な困難に直面している組織も少なくありません。高齢化で力のある役員や専従者が交替し、要求運動への対応力や実現力を低下させている組織もあります。
こうした状況を乗り越えて新たな前進に転化させることは、農民連の持続可能性に関わる課題となっています。
(2)要求がある限り要求運動は生まれる
農家の減少や高齢化などの困難な状況があるものの、全国で約150万戸(販売農家)の家族経営農家ががんばっています。農地と地域を守っている経営規模の小さい兼業農家、定年帰農者なども数多くがんばっています。その多くの農民が、安倍農政との矛盾を深め、困難の中で知恵を絞って経営を存続させています。がんばっている農民は、生産、経営、販路、税金、暮らしなど、あらゆる場面で要求を募らせています。
日米貿易協定、消費税、CSF、被災地支援、地域作りなど、農業にかかわるあらゆる要求を取り上げて奮闘する全国的な農民組織は、農民連以外に存在しません。
農民がいる限り要求は存在し、要求がある限り、農民運動は必ず生まれます。「農民の苦難あるところ農民連あり」の原点に返り、要求に向き合い、働きかけて一緒に要求を実現するために運動しましょう。ここに組織を前進させるカギがあります。
(3)農業の新しい構造変化に着目し、要求で働きかけよう
地域では耕作が困難になった農家の農地を引き受けて耕作面積を拡大させている農家、集落営農や生産法人が大きな役割を果たしています。
また、就農交付金を活用して新規参入した青年が、困難のなかで経営を定着させるためにがんばり、定年帰農の動きも堅調です。ここで生まれる要求に着目して働きかけることは、150万戸の農家と合わせて、今後の農民連の組織化の大きな戦略です。
(3)どのように前進をつくるか
(1)どんな要求でどんな組織を作るかの話し合いを
農民連は前進を続ける組機に共通する教訓として、(1)要求を鮮明にしての大量宣伝、(2)会員・組合員に依拠した紹介活動、(3)要求実現に強い役員・専従者の育成、(4)専従者を配置して自己運動できる単組づくり (5)中心的な幹部の熱意と決意――の5つに整理してきました。
5つの教訓は、一体的なものですが、最大のカギは、組織の後退から前進に転換するため、中心になっている役員が、諦めや惰性から抜け出し、要求で周りの農家に働きかける一歩を踏み出すことです。こうした前向きな方向でみんなを励まし、どんな要求で誰に働きかけるか、「それならできそうだ」となるような議論で、「5年後10年後の農民連をどうするか」の戦略的な目標を持つことです。
(2)地域の農家と一緒に地域農業の将来を議論しよう
地域農業は農民連だけでは守ることはできません。「家族農業の10年」で励まし、一緒に地域を守るために知恵を出し合う話し合いを行いましょう。地域で税金などの要求での「何でも相談会」をはじめ、生産技術や販路、災害復旧など、多様な要求で話し合いを行いましょう。こうした取り組みの中で農民連を紹介し、会員に迎え入れましょう。
(新聞「農民」2020.2.3付)
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