「農民」記事データベース20180827-1324-07

シリーズ「国連家族農業の10年」

家族農業を中心に農山漁村を再生しよう!
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第1回 家族農業の10年 今なぜ?

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 いよいよ来年から「国連家族農業の10年」がスタートします。これに呼応し、農民連は、「安倍官邸農政ストップ! 食料自給率向上、農山漁村を再生する国民運動」を呼びかけました。安倍農政の下で危機的状況にある農村を再生するため、本紙上でも家族農業を中心にした持続可能な地域づくりについてシリーズで読者の皆さんとともに考えていきたいと思います。
 第一回は、国連がなぜ家族農業の10年を決めたのか? その背景を探ります。


2019年から2028年まで
抜本的振興を呼びかけ

 首相は企業農業を推進
 国連は家族農業の振興

 「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」「民間企業が障壁なく農業に参入できる時代がやってくる」。安倍首相が企業の農業参入を国策として進める決意を表明した2014年。国際社会はこれとは正反対の道に歩みだしました。国連はこの年を「国際家族農業年」と宣言。それまでの農政を大転換させ、家族農業の振興を打ち出しました。あれから4年、家族農業の振興をさらに抜本的に進めようと、国連総会は昨年12月、2019年から2028年を「国連家族農業の10年」とする決議を行いました。

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「家族農業の10年」を定めた国連総会決議原文

 国連のメッセージは明瞭です。世界で重要な役割を果たしている家族農業が無視、または意図的に痛めつけられている現状に対し、家族農業に光を当て振興していく機運をつくろうというものです。

 農業経営の圧倒的多数
 食料生産の中核担う

 国連のいう家族農業とは、労働の過半を家族が担っている農業のこと。これを日本の実情に合わせ、農民連は、規模の大小を問わず、地域に居住し、生産に従事する経営をすべて家族農業と呼んでいます。

 国連が評価する最大の理由は、家族農業こそが世界の農業経営の圧倒的多数を占め、食料生産の中核を担っているからです。

 国連決議は「世界の食料生産の80%以上を担う家族農業の重要な役割」を強調します。

 国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の農業経営体の総数は5億7000万。そのうち、家族農業は90%の5億1300万以上です(図1)。

 FAOによると、1ヘクタール未満が72%、2ヘクタール未満まで含めると84%、5ヘクタール未満まで含めると94%となります。

 日本では97%が家族農業です(図2)。また、1ヘクタール未満が54%、5ヘクタール未満まで含めると93%になります。

 日本よりも大規模な欧州やアメリカでも、家族農業が中心です。

 欧州連合(EU)では、家族経営が96%(図3)、経営規模でみると、5ヘクタール未満が65%、10ヘクタール未満まで含めると、78%です。

 カーギル社など巨大アグリビジネスの拠点であるアメリカでも実は99%が家族経営です。アメリカでは販売額35万ドルを下回る小規模農家が90%を占めています。

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(新聞「農民」2018.8.27付)
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2018年8月

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