「農民」記事データベース20160725-1223-10

輸入柑橘類の残留農薬の実態は…
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食品分析センター

輸入農産物の実態を暴く
自らの検査で安全証明が必要

 輸入農産物の残留農薬検査は輸入量のわずか8・8%にすぎず、その中から残留基準違反が確認されても、すでに全量消費されていることもある実態が、4月20、22日の衆院TPP特別委員会で、日本共産党の斉藤和子衆院議員の質問で明らかになりました。

 その議論の中で、「検査結果が出るまで留め置き検査に変えるべきでは」との質問に、塩崎恭久厚労大臣は「検査結果が出るまで流通をストップするのはむずかしい」「輸入することのメリットを国民が、消費者がどう享受するかというバランスの中で…」と言葉を濁しました。

 この答弁は、WTO・SPS(衛生植物検疫措置)協定による食品衛生法「改正」の議論が行われた1995年7月12日の衆院厚生委員会で、日本共産党の岩佐恵美議員の「残留基準が未設定の輸入農産物は輸入を禁止すべきでは」との質問に、小林秀賢厚生省生活衛生局長が「基準が未設定の農薬が残留する食品の流通を一律に禁止すると国民への食糧供給が極めて困難になる」と答弁したことと共通します。

 食品安全行政を動かす成果次々

 この背景には、SPS協定で「輸出国で安全が確認されたものは、日本国内で検査をしなくてもいい(検査してはならない)」ということがあります。農民連は「こんな状況を放置しては、国民の安全は守れない」と農民連食品分析センターを1996年に多くの国民の協力も得ながら立ち上げました。

 食品分析センターは、中国産冷凍ほうれん草の残留農薬問題を告発し、加工食品の農薬残留基準を設定させたことをはじめ、すべての農薬に残留基準を設定したポジティブリスト制の導入など、食品安全行政を動かす多くの成果をあげてきました。

 国際基準よりゆるい基準に

 世界的にミツバチの大量死など生態系への影響からネオニコチノイド系農薬の使用を禁止する国が増えています。そのネオニコチノイド系農薬の残留基準を、日本では輸入の障壁にならないようにと、2015年5月に国際基準よりもゆるい基準に緩和しました。(表3)

 一方でその基準を縦にとって「日本の農産物は国際基準に達していない」とのネガティブキャンペーンが始まっています。

 これらの新たな輸入攻勢をはね返すためには、輸入農産物を検査し、実態を暴露するとともに、自ら生産したものを検査し、その安全性を科学的な数値で明らかにすることが必要です。

 分析センターへ募金協力さらに

 残念ながらこれまで配備してきた分析機器では力不足であり、高性能な分析機器の導入が求められています。

 そのため現在「農民連食品分析センター強化3000万円募金」を呼びかけていますが、現在集まった募金は60%程度です。みなさんの力で分析機能の強化を実現しましょう。

(新聞「農民」2016.7.25付)
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2016年7月

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