東日本大震災5年
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そんななかで政府と東電は、2017年3月までに「帰還困難区域」以外の避難指示をすべて解除し、賠償も打ち切ろうとしています。営業損害も直近の年間賠償額の2倍を払うことで、実質的に賠償を打ち切る方針を示しています。
福島県農民連は、原発事故直後から自分たちの農産物を徹底して放射能分析し、消費者の「福島県産の農産物を食べるのは不安だ」という声に応えることに、全力で取り組んできました。その結果、日本の土壌の特性や検査体制の強化によって、農産物への放射能の移行は少ないことが確認できています。
またその一方で、農地ごとの土壌の放射能汚染も調査・分析。国が航空機から計測した汚染数値より、ずっと深刻で多様な農地汚染が、広範囲に広がっていることも明らかにしてきました。
国・東電は、「年間被ばく線量20ミリシーベルト以下」は“被害とみなさない”として、避難指示解除など被害者切り捨ての口実に使っています(一般公衆は1ミリシーベルト)。しかし汚染の実相は、線量や数値で見えるよりもはるかに複雑で、深刻です。「たとえ線量は低い数値でも、汚染の不安のなかで生きるストレスはきわめて大きい。農民はさらに、放射性物質に汚染された土壌の上で農作業せねばならないという二重の困難に直面させられている」と、福島県農民連会長の根本敬さんは指摘します。
農地除染で出た除去土壌の仮置き場。黒いコンテナバッグに入れられ、除染した農地の上に山積みにされている(飯舘村) |
安倍政権は、一昨年に閣議決定した「長期エネルギー需給計画(エネルギーミックス)」と「エネルギー基本計画」に原発推進を明記し、いまこれに沿って、川内原発(鹿児島県)、高浜原発(福井県)など次々と原発再稼働を進めています。原発の再稼働は、いま福島で起きている苦しみが、日本のどこでも起こりうるということです。「福島の原発事故は終わっていない」――それをいかに全国で共有できるかが、いま、大きく問われています。
[2016年3月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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