期限切れ食肉不正混入
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中国のテレビ局による潜入取材は、中国政府が「OSIグループのような外資系企業の安全性がいかにずさんか」を際立たせるために行ったものですが、結果的に、中国食品の安全性を疑問視する世論の高まりを助長することになりました。
今回の最大の問題は、日本での輸入食品に対する検査体制の問題だと思います。
輸入する鶏肉や豚肉は、動物検疫ではウイルス汚染などの検査が厳密に行われます。しかし食品検疫となると、検査率は、1割程度に下がってしまいます。
また、国による輸入食品の行政検査は、検疫でなくモニタリング(監視)検査です。輸入品の汚染状況を調べるのを目的としており、輸入を止めることになりません。たとえ検査で農薬が検出されても、「一部は販売済み」ということがあり、これでは、結果がでたときはすでに胃袋に入ってしまっていたということになりかねません。
検査体制も問題です。現在、検査に携わる国の食品衛生監視員は399人しかいません。輸入食品の入港時の水際検疫は、国が輸入業者に検査命令を出し、業者が民間の登録検査機関に依頼・発注して行われます。命令検査と呼ばれていますが、この検査で基準値以下であれば、安全な食品として輸入できます。
しかし、2012年度の輸入食品監視統計によれば、食品の輸入時における届け出件数約218万件に対し、命令検査件数は約8万件。検査率は3・7%程度にすぎません。
日本共産党の紙智子参院議員事務所の調べによれば、登録検査機関の検査実績を検査員で割ると、最も多い検査機関で1人あたり年間300件もの検査をこなさなければなりません。現状でも、検査の現場では、徹夜続きなど過酷な作業が強いられ、食の安全が脅かされかねない事態になっています。
食品衛生監視員を3000人程度に増員し、国の検査をモニタリング検査から検疫検査に改め、1割しか検査できない体制を3〜4割検査できる体制にすべきです。
また、輸入元を中国産からタイ産に切り替えるなどの例もありますが、根本的な解決にはなりません。
発展途上国の食品産業の労働条件は、低賃金、過重労働と劣悪です。2008年の毒入り冷凍ギョーザ事件のように、勤務条件に不満をもつ労働者が腹いせに異物を混入するなどの事態もありえます。食の安全と労働条件の関係は一体不可分なのです。
[2014年8月]
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