「農民」記事データベース20140811-1129-07

期限切れ食肉不正混入
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改めて中国産食材の安全性に疑念
輸入食材の検査・監査も限界

 今回の事件は、あらためて中国産食材の安全性にも大きな課題を突き付けています。上海市当局は23日、工場の幹部5人を拘束し、不正を指示した内部文書も押収。さらに、昨年まで同工場の品質管理者だった男性が、製造日の改ざんを強制されたなどとして訴訟を起こしていたことも報道されており、不正が組織ぐるみだったことが明らかになっています。

中国の食品安全をめぐる動き
2000年12月   農民連食品分析センターが中国産冷凍ホウレンソウなど3品目から残留農薬を検出
2002年9月   食品衛生法の一部改正が施行される
2002年7月   中国産ホウレンソウの輸入自粛(1回目)
2008年1月   中国産冷凍ギョーザから有機リン系殺虫剤が検出され、日本各地で中毒患者が発生
9月   粉ミルクに有毒物質のメラミンが混入、中国全土で健康被害
2012年7月   ネスレが中国国内で販売した加工乳から規定値の12倍のセレウス菌を検出
4月   浙江省などで廃油を食用に再利用した「地溝油(どぶ油)」が流通
11月   ケンタッキーフライドチキンの鶏肉から規定値以上の抗生物質と成長ホルモン剤を検出
2013年1月   浙江省などでゼラチンで作った偽フカヒレが流通
5月   中国各地で羊肉に偽装したキツネやネズミの肉が流通
5月   広東省などでカドミウム汚染米が流通

 中国での工場生産をチェックする検査や監査の体制もきわめてずさん、との指摘も各方面から上がっています。

 同工場の従業員も、市や政府当局による検査や監査会社による監査も、たいていは事前通告があり、期限切れ肉のような危ないものは隠されたと、マスコミ取材に答えています。

 また食材の多くを輸入に頼る多国籍食品企業ならではの限界もあります。今回の出荷先の一つであるヤム・ブランズは、中国国内だけで約650の業者から仕入れています。

 こうした企業はみな「厳しい品質管理システムを構築し、高いレベルでの品質管理・衛生管理を実現している」(マクドナルド)などと主張していますが、実際には生産現場のチェックは自社では行わず、民間の監査会社に依頼することがほとんどです。こうした監査システムの実態のなかで、すべての輸入食材の安全性の保証には限界があるのは明らかです。

(新聞「農民」2014.8.11付)
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2014年8月

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