「農民」記事データベース20140310-1108-11

3・11大震災から3年
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愛媛県内の被災避難者が
NPO法人「えひめ311」立ち上げ

1日でも早く1人でも多く
前を向いて歩み出せるよう

NPO「えひめ311」代表理事 渡部寛志

 2011年5月21日、東日本大震災により避難を余儀なくされた愛媛県内の避難者たちによる「東日本大震災愛媛県内被災者連絡会」が発足しました。

 この会は、宮城、岩手、福島、その他隣県からの避難者、また強制・自主を問わないさまざまな立場の人々により構成され、特別の目的や目標は決めず避難者同士が集まり・話し・新たな「つながり」をつくる場として存在し、その活動は、「この困難を乗り越えるため避難者同士無理のない範囲で力を合わせ助け合い、私たちの新たな生きる場をつくり・守るためのものへとつなげていきたい」という思いのもと進めてきました。

 12年2月11日に行われた会合で、東日本大震災から1年を迎えるにあたり、避難者が作る会だからこそできるさまざまな事柄に取り組み、未来に続く活動を行える団体として発展させていくことになりました。「避難者を支える活動」「被災地の復興に向けた活動」「これから起こる災害に備える活動」を展開していくことを決めました。

 当事者が立ち上がりNPO法人とすることで、行政や既存の支援団体との連携を図り、より多くの善意を集め市民との協働の活動にしていこうと、2012年5月21日に「えひめ311」が設立され、同年9月11日にNPO法人となりました。

 地元のみかんを被災地で販売

 震災後に生じている問題には、 住むところ・食べるもの・コミュニティーの崩壊・家族離散・経済的困窮・精神的ストレスの増大などさまざまなものがあります。原因は一つなのに、同じ被災者・避難者であっても、その中で格差が生じ、心の溝も生まれています。

 NPO法人えひめ311は、「一人一人の心に寄り添い共に課題を解決していく」という理念のもと、一人一人の実情にあわせた支援を行い、一日でも早く一人でも多くの人が前を向いて歩き出せるような仕組みづくりに努めることを第一の目的としています。

 具体的な取り組みとしては、「常設の相談窓口の開設」、「被災地や支援の情報提供」、「自主避難者への帰省交通費補助」、「講演会・写真展等啓発イベントの開催」事業を行っています。被災地との交流事業としては、愛媛県農民連、県食健連、新日本婦人の会県本部の協力を得て、「私自身が栽培しているミカンを中心とした愛媛のかんきつ販売」、「愛媛の農家から寄贈された温州みかんや伊予柑の運搬」などを行っています。

 先日(1月11日)は、福島県いわき市で開かれた双葉町のお祭り「ダルマ市」に出店し、祭りを盛り上げるためにと愛媛、香川、宮崎の方々をボランティア・スタッフとして愛媛特産のじゃこ天や今治タオル、伊方町の有志から提供していただいた海産物やかんきつを販売してきました。

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福島県いわき市で行われたダルマ市。右端が渡部さん=1月11日

 遠く離れた愛媛から被災地の被災者のために何ができるか、微力な私たちですが、広く県民、市民に働きかけ、人と人とをつなぐ架け橋となることで、被災者の現状をよりよくしていく力になれればと考えています。

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伊予柑にメッセージを書いて宮城県の気仙沼に届けました(2013年2月)

 「笑顔あふれる明日」を願って

 私は、二度と同じ過ちを繰り返さない社会をつくり、子どもたちの「笑顔あふれる明日」がつくられていくことを切に願っています。そしてこの願いは、東日本大震災を体験した当事者、またこの時代に生を受けた多くのおとなたちに共通のものだと信じています。

 愛媛にも、火種があります。そして私は伊方原発運転差し止め訴訟の原告になりました。未来を脅かす原発をすべてなくしていくことが、私たちおとなに課せられた責任だと確信しています。

(新聞「農民」2014.3.10付)
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2014年3月

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