「農民」記事データベース20130311-1060-09

3・11 大震災から2年

被災地は今
くらしは? 復興は? 生業は?
(3/5)

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この冬
村営の復興住宅に入居

集落単位に元の場所へ
農民組合の要望実る

 長野・栄村

 仮設住宅から暖かい村営住宅に、集落のきずなを守りながらみんなで入居――。2011年3月12日に長野県北部地震が襲った栄村。村民の暮らしと営農に大打撃を与えた震災から2年がたとうとしています。

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復興住宅の前で。右が広瀬さん

 田んぼの補修費本人負担は1%

 昨年5月には、復興の願いを込めて栄村農民組合が再結成されました。再結成後、1カ月あまりで村長交渉を行い、その後も村民や農家の要求を行政に届け、実現してきました。

 この冬には、村営の復興住宅が完成し、それが集落ごとにできました。これには、「集落を割ってはならない(壊してはならない)」という村の気風があったのです。集落には固いつながりときずながある、決してばらばらにしてはならない、という伝統が。

 震災直後、村民は学校や役場などに避難しましたが、そこでも「集落」という単位は守られました。教室ごとに、部屋ごとにそれぞれの集落が入りました。

 いよいよ復興住宅に入居という段階でも、住宅は元に住んでいた集落に造られました。これは「入居は集落単位で元の場所に」という農民組合の要望が実った形です。

 また、甚大な被害を受けた用水路や田んぼの補修事業への補助を継続させ、いまでは費用の99%は国・県・村が出し、残り1%が農家の自己負担となります。栄村農民組合の広瀬進事務局長は1・2ヘクタールの自分の田んぼを補修するのに約1000万円かかりましたが、この事業のおかげで広瀬さんの負担は1%の約10万円の負担で済みました。来年度も継続を要求しています。

 さらに、医療費の窓口負担を国が8割、村が2割となっていましたが、その制度も継続させ、村民の負担は今のところゼロです。

 復旧から復興へ農民組合の出番

 こうして、村民の要求を掲げてたたかっている農民組合にさまざまな要望が寄せられています。村民の要求をまとめ、行政に声を反映させやすいのは、合併せずに自立した小さな村を追求してきたからです。

 今後、新たに再建されるライスセンターの運営の問題や、高齢化で作付けできない農地が増えることなど、課題も山積しています。広瀬事務局長は「復旧から復興へ、まだまだやらなければならないことが多くある。これからが農民組合の出番。村民や農家から頼りにされる農民組合をもっと大きくしていきたい」と意気込みます。

(新聞「農民」2013.3.11付)
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2013年3月

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