「農民」記事データベース20130311-1060-08

3・11 大震災から2年

被災地は今
くらしは? 復興は? 生業は?
(2/5)

関連/被災地は今 くらしは? 復興は? 生業は?(1/5)
  /被災地は今 くらしは? 復興は? 生業は?(2/5)
  /被災地は今 くらしは? 復興は? 生業は?(3/5)
  /被災地は今 くらしは? 復興は? 生業は?(4/5)
  /被災地は今 くらしは? 復興は? 生業は?(5/5)


集まれば“早く海へ出たい”

新しい漁船届き準備に大忙し

 岩手・三陸生産組合

 岩手県大船渡市三陸町の越喜来(おきらい)地区は、湾の奥にある港町。東日本大震災の津波により、市役所の支所や学校など町の中心部が大きな被害を受けました。越喜来で2001年から魚介類を販売している直販会社「三陸とれたて市場」も床板一枚になってしまいましたが、間もなく業務を再開し、建物・施設も再建。そこに集まる漁師たちの間から出されたのは「早く海に出たい」という声でした。

画像
瀧澤組合長(手前)と生産組合の仲間たち。今年2月に届いた第十七天王丸の前で

 若い漁師のため魅力ある“浜”に

 「船や漁具が流された」「新造船がなかなか来ない」。困難な中でも共通しているのは「自分たちでとったものを、自分たちで手をかけて届けたい。若手が漁業で暮らしていけるよう、浜の未来を切り開きたい」という思いです。

 論議をかさね、越喜来を中心に気仙・釜石市地区の漁民組合員10人が参加して昨年5月に「三陸漁業生産組合」を設立しました。県内では漁業者の生産組合が認可されたのは初めてです。

 集まった仲間はカゴ漁が中心。タコや毛ガニ、ツブ貝、そしてタラ、ナメタ、ヒラメ、スイなどの魚も生産組合で取り扱います。高速冷凍できるCASを導入し、冷凍品も鮮度を保てるようになりました。

画像 また、放射能検査機器も完備しています。「三陸とれたて市場」を通してのネット販売のほか、提携した飲食店・小売店などに販売を始めています。とれたその日の鮮魚を詰め合わせた3種類のパックのほか、各種鮮魚・冷凍・加工品の発送を行います。

 中北部など2カ所組合結成めざす

 震災から2回目の春を控え、新たな漁船も届きました。イサダ漁に向けた準備にみんな大忙しのなか、生産組合の瀧澤英喜組合長は語ります。「漁業は高齢化が進んでいるが、加工や産直を通して若者にも魅力ある産業にしていくのが私たちの役割。資源管理を求める運動にも取り組みながら、全国のみなさんに届けていきたい」。岩手県漁民組合では沿岸中北部を中心に、さらに2カ所で生産組合の結成を目指しています。
(岩手県農民連 岡田現三)

(新聞「農民」2013.3.11付)
ライン

2013年3月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2013, 農民運動全国連合会