TPP反対の一点で
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次に驚かされたのは、多くの団体や労働組合が、FTA(自由貿易協定)そのものに反対だということでした。
アメリカは、メキシコ、カナダとNAFTA(北米自由貿易協定)をはじめ、いろいろな国とFTAを結んでいます。その結果、全体で400万人の雇用が失われ、NAFTAでは100万人の雇用が失われたのです。国民のなかに自由貿易をやればやるほど、雇用が失われ、失業者が増え、格差が広がってしまうという感情が非常に強い。
また、NAFTAによってアメリカは競争力を失い、工場などが中国に移転してしまいました。
一方、TPPを推進・賛成している人たち、なかでも農業関係者は、「アメリカの農産物がもっと売れるのではないか」と、大きな誤解をしていました。つまり、日本とアメリカとの2国間のFTAだと思っているのです。私たちが「TPPはマルチ(複数)の協定で、オーストラリア、ニュージーランド、もしかしたらカナダも参加するから、日本はそういう国からも農産物を買うことになるんですよ」と言うと、真っ青な顔になり、食事をしているとナイフが止まってしまうほど驚いてしまうわけです。(笑い)
また、法案を作成する国会議員のスタッフとも話をしてきたのですが、みんな「この問題には触れたくない」と言うのです。「公聴会であなたのボス(国会議員)は、日本との貿易を進めようと発言しているではないか」というと、「実は選挙区は非常にねじれた関係になっている。うちのボスは農業委員会をやっているが、地元には自動車の工場もある。TPPの問題は触れたくないし、口に出したくもない」と言うのです。
私たちは、「TPPはオバマ大統領の再選戦略ではないか。TPPで雇用を増やし、大統領選を勝ち抜こうとしているのではないか」と思っていたのですが、これは誤解でした。オバマ大統領は1月の年頭教書でもTPPには一切ふれていないわけです。アメリカの大統領選挙は、テレビ広告に払われる金額で決まるのです。財界の人たちを集めて、食事をしながら寄付を集めるわけです。そこでオバマ大統領は「TPPで貿易が伸びる」という話をしているらしいのです。つまり、TPPはオバマ大統領の選挙資金戦略という訳です。
また、TPPを推進しているのは、大統領直轄のUSTR(米通商代表部)ですが、これは業界と官庁が一体化したものです。アメリカの役所のなかでもUSTRは、特定の目的を持った人たちが集まってきます。そういう人たちが貿易協定を作って、その報酬として利益を得られる地位につくわけです。
また、「流通コストの合理化」が取り上げられていますが、日本では薬の承認に2年も待たなければならないし、薬局には薬剤師がいて、客の相談にのりながら調剤します。「流通コストの合理化」で、インターネット取引にすれば、アメリカの製薬企業のホームページを見て、注文することになります。こうすれば政府の許可を得る必要もないし、2日待てばよく、関税もないということになります。
今後は、どうしたら国民の生活を守っていくことができるのかをよく考えていく必要があります。そういう意味ではTPPはすばらしいチャンスを与えてくれたとも考えられます。もっと多くの国民に関心をもってもらい、気を抜くことなく反対の運動を続けていきましょう。
[2012年3月]
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