「農民」記事データベース20111031-995-10

食糧主権、アジアの経済と
農業を破壊するFTA・TPP
(3/4)

さらなる運動と連帯で新自由主義に対抗し、
公正で正義あるルールを!

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新植民地主義を拡大・永続
“FTAは無効”と訴える運動も

インドネシア農民組合
ムハンマド・イクワンさん

画像 インドネシア政府は、「TPPの分析が必要だ」と言ってTPPに不参加を発表していますが、ASEAN(東南アジア諸国連合)の一員として、日本、韓国、中国、オーストラリア、ニュージランドなどと積極的にFTAを結んで自由化をすすめてきました。

 「ラーメン丼現象」

 FTAの危険は、新植民地主義を拡大し、永続させることです。インドネシアやタイなどの発展途上国は、これまで原材料やエネルギーだけを輸出してきました。つまり国内の産業を育成できなかったのです。たとえばヨーロッパに原材料のココアを輸出し、チョコレートを輸入しています。FTAはこの路線を推進するもので、国内産業の育成を阻み、世界の不平等を拡大します。原材料生産は、モノカルチャープランテーションとアグリビジネスを拡大することになり、土地収奪の争いを引き起こします。

 自由化は関税を下げ、国の政策に混乱を持ち込みます。とくに土地や流通、価格、生産地など農業分野を大きく混乱させるものです。私は「ラーメン丼現象」と呼んでいるのですが、いま私たちが食べているモノは、いったいどこから来ているのか、まったくわからない現状があります。

 またFTAは、その合意内容すら国民に知らされていません。たとえば2010年にASEANと中国のFTAが始まりましたが、私たちはその文書を見たこともありません。

 インドネシアでは1週間前からジャガイモの収穫が始まりましたが、1キログラム約50セント(約40円弱)でした。しかし中国産は20セント(約20円弱)なのです。中国との協定では6680品目中、6600品目の関税が“ゼロ”になり、貿易赤字が拡大しています。

画像
2008年に投資に関する新しい法律を無効にしたインドネシアの農民たち(憲法議会前で)

 地域を活性化する

 私たちはいまインドネシアで、生産者と消費者が直接取引する「産直」や生活協同組合など、地域を活性化することに取り組んでいます。またFTAに反対する運動にも活発に取り組んでいて、とくにASEAN・中国のFTAには数百回におよぶデモ行進も行われました。残念ながら政策を変えるにはいたりませんでしたが、国民的な運動になっています。

 またインドネシアには良い憲法がありますが、憲法に合わない多くの悪法もあり、この悪法は無効だと司法に訴える運動もしています。こうした悪法の多くが、私たちの運動で破棄されてきました。FTAもASEAN憲章やインドネシア憲法に照らして無効だと訴える活動を準備中です。

(新聞「農民」2011.10.31付)
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2011年10月

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