田畑と自然を汚し 生活の糧を奪った東電は全面的に償え(2/4)
北から海越え乾草が福島へ出荷停止解除も みんな複雑な思い原乳の出荷制限が続いている福島県の酪農家に、北海道の酪農家から乾草20トンを送る計画が進んでいます。送り手は北海道幌延町の鷲見悟さん。受け取るのは、福島市の佐々木健三さん(農民連前会長)、光洋さん親子です。
原発事故の影響飼料与えられず福島県では、牧草の1番草の収穫が5月から始まりますが、今年は原発事故の影響で、牧草が飼料として与えられないということが危ぐされています。この窮状を聞いた鷲見さんから、「うちも同じ酪農家。草が不足するたいへんさはよくわかる。うちは去年の2番草がまだかなり余裕があるから、福島に送って支援したい」という声が寄せられ、この計画が始まりました。 実は幌延町にも高レベル放射性廃棄物貯蔵施設を誘致する計画があり、鷲見さんは反対運動の先頭に立ってきました。「幌延町には、すでに原子力関係の研究所があるのですが、当事者にしかわからない、放射能の不安が伝わってきます。報道されているよりも、ずっと精神的に参っているだろうし。これは見捨てておけないと思って」と、鷲見さんは言います。 支援の一番のネックは、フェリー運賃が高いことでした。そこで鷲見さんは、トラックは自身の牧場の車を出すことを決意。フェリー代は、途中札幌市に立ち寄って、福島第一原発の事故発生後、毎週開かれている原発問題の集会でカンパを訴えて、集めることにしました。 「反原発のスローガンを書いた横断幕も作っているんですよ。原発問題で運動してきた仲間たちからも、この乾草の支援はとても歓迎されています。全国的に高まっている原発反対の波に、今こそ農民連も乗って、運動を進める時ですね」と、声を弾ませる鷲見さん。思いのいっぱい詰まった乾草ロールが、海を越えて、一路、福島を目指します。
農民連ならではのすごい支援一方、「農民連ならではの、本当にすごい支援です。北海道の皆さんに心から感謝したい」というのは、佐々木健三さんと光洋さん親子です。今後も長く困難が続きそうな福島の放射能問題に、健三さんは「今回の取り組みを糸口にして、支援が北海道の生産者にも役立つものに発展することを願っています。たとえば大きな飼料コントラクターに生産を頼んだり、未利用の牧草地で作ってもらったりと、我々も助かって、北海道の生産も力づけられるような、そういう取り組みになれば、と思うのです」と言います。 光洋さんは「これまでずっと健康にいいものを作りたいとがんばってきました。福島市では4月16日に、出荷停止が解除されましたが、たとえ基準値以下でも、この地域の酪農家はみんな本当に悩み、複雑な思いでいると思います。東京電力と国は、きちんと損害賠償すると同時に、早く田畑をもとの安全な状態に戻すための技術提供なり、財政的補償なり、そうした対策もしっかり取ってもらいたい」と話していました。
(新聞「農民」2011.5.2付)
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[2011年5月]
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