若者が戻ってきた 農業で地域が元気に(3/3)
青年就農者育成支援制度実施のフランス後継者が34年間で28万人超働きざかり(35〜54歳)55%にもフランスでは1973年から「青年就農者育成支援制度」を実施し、36年たった現在も順調に農業後継者を確保し続けています。
助成金20%引き上げかつて政府の研究所が試算したところ、2000年の農家数が最悪の場合、25万戸以下になるという結果が出されました。当時の農家戸数は85万戸。「フランスの基礎は農業であり、農業の明日は後継者にかかっている」という認識で、同制度がスタートしたのです。同制度の柱は(1)青年農業者就農助成金、(2)青年農業者特別融資、(3)農業技術と経営管理ノウハウの研修の3つ。 就農助成金は表のように、最も条件が不利な山岳地帯に夫婦で就農する場合は、3年分の生活費補助として700万円超(月20万円)。助成金は最初に70%支給し、3年後に実地検査を行って収入が目標に達していれば残りの30%を支払います。3年後に赤字であっても、農業を続けたい人には低利融資を行います。 83年からは女性も助成対象になり、妻が就農し、夫が農外に就労するケースも増え、さらに93年には助成金を20%引き上げるという改善をほどこしてきました。
離農わずか1〜2%農業省の委託を受けて就農助成事業を実施している「農業構造改善センター」(クナゼア)と、その県組織である「アデゼア」が「社会の連帯で若い農民を守る」ためのきめ細かいアフターケアを実施しています。その結果、完全に失敗して離農するのは受給者の1〜2%。受給者の80%は農家の後継者、20%は農外からの新規就農者で、73〜07年の34年間で就農した若者は28万人を超えています(図1)。フランスの農家戸数は70万戸ですから、日本の販売農家戸数(170万戸)でいえば70万人に匹敵します。
もちろん助成金をもらわないで自主的に就農する青年も少なくなく、03年のデータでは、受給者6000人弱に対し、非受給者が4000人強です(ジェトロ「フランスの農業・食料・食品産業・消費者の動向」)。 大がかりな「国家プロジェクト」といっていい政策の結果、フランスの農民の年齢構成は35〜54歳の働きざかりが55%を占めるというバランスがとれたものになっています。(図2)
日本の政策は無責任「生活支援も系統的な指導もなく、若い人に金を貸して終わりという日本政府の政策は無責任だ」――青年農業者育成支援事業を熱心に説明してくれたフランス農業省の担当者は、日本政府の政策をきびしく批判していました。
(新聞「農民」2009.7.27付)
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[2009年7月]
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