日韓農民交流アジア地域のネットワークの始まり(1/4)
日韓フォーラム「食の安全守る」は緊急課題10万人のロウソク集会に学び農民連と韓国全国農民会総聯盟(KPL)は3月23日、東京都豊島区の平成帝京大学で「日韓食の安全フォーラム」を開き、62人が参加。日韓両国の食の安全をめぐる状況とたたかいを交流しました。全国食健連(国民の食と健康を守る運動全国連絡会)が協賛しました。
前進のきっかけに日韓両農民組織の代表が開会あいさつ。農民連の白石淳一会長は、昨年8月のビア・カンペシーナ地域会議で韓国を訪れた際に、「今後、定期的な交流を」という提案があり、今回の交流は、それに応えたものだと経緯を説明。「フォーラムが日韓の運動にとって前進のきっかけになることを願っています」と述べました。KPLのパク・ミヌン副議長は「韓日双方の農民が抱える問題は、多国籍企業の横暴によるもの。ともに考え、たたかってこそ解決できる。日本で学んだことを韓国に帰って実践したい」と述べました。 農民連を代表して笹渡義夫事務局長が、ミニマムアクセス(MA)米を中止させ、汚染米事件を追及するたたかいの経過を報告しました。MA米の問題点をいち早く指摘し、中国・黒龍江省の視察などにもとづいて、危険性を一貫して告発。また、輸入米流通業者名の公表を求めてきたことや、全国的なたたかいの結果、マスコミにも取り上げられ、業者名の公表や原産国表示の義務づけなどが法案化され、政治と世論を動かしてきたことを紹介しました。
高まる危機意識KPL代表は、イ・チャンハン政策委員長がプレゼンテーションを行い、昨年韓国全土に広がったBSE牛肉輸入に反対するロウソク集会の模様を報告しました。食の安全を求め、競争を激化させる教育改革に反対する女子中学生が最初に立ち上がり、それが1500団体を結集する国民対策委員会に発展。新自由主義や国の主権を侵害する韓米FTA(自由貿易協定)に反対する流れと合流しながら10万人のデモへと前進し、「第2の民主化闘争」と言われる全国的な運動に発展した経過を述べました。 次に、「韓国でも日本の汚染米事件が報道され、多くの国民が知っている」と語ったイ氏は、「韓国も中国からの輸入米がほとんどであり、MA米をめぐる運動も始まっている」と発言しました。 韓国政府が、米の関税化のモラトリアム(猶予)を早期に廃止しようと策動していることに対して、「米輸入が全面開放されれば韓国の農業が死滅してしまう」との国民の危機意識が高まっている現状を紹介。さらに公共性を脅かす新自由主義政策の下で、食の安全の確保が大きな課題となり、実際にダイオキシンに汚染された豚肉、鉛まみれの毛ガニ、メラミン入りの菓子が発見され、学校給食で集団食中毒も起きている事態を告発しました。 最後に、国内の運動の組織化、アジア地域の連帯の強化、都市農業の振興などに取り組み、食糧主権を守る運動を「食健連に学びながら進めていきたい」と締めくくりました。
フロアから発言フロアからの発言では、全日本教職員組合(全教)の北村佳久さんが、教育は国民や子どもたちのものであり、人間が生きていくのに必要な食と農業を守る運動に、教師が積極的にかかわっている意義を強調しました。新日本婦人の会東京都本部の根本かおるさんは、食料自給率向上、地球温暖化防止に貢献する産直ボックスの取り組みを紹介しました。
プレゼンテーションを行った2氏がまとめの発言を行い、笹渡氏は「アジアから食糧主権を農政の柱にする流れを大きく」と述べ、イ氏は「食糧主権は緊急の課題。アジア地域で運動を作ろう」と結びました。
(新聞「農民」2009.4.6付)
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[2009年4月]
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