地球を襲う食糧危機の下で大もうけ(3/4)
不要なMA(ミニマムアクセス)米輸入中止を米国の意向次第の卑屈な姿勢世界的な食糧危機にもかかわらず、日本では強制減反で米を作らせず、備蓄米を放出し、国民が望みもしないミニマム・アクセス米(MA米)の輸入を続けています。
農民連は六月二日、MA米の輸入中止と米の安定供給を求めて、若林農水大臣に要請しました。
買う義務ないのに無理に買う年間七十七万トンを輸入しているMA米。在庫は三月末で百三十七万トンにもおよび、東京・江東区の深川政府倉庫には、MA米(カリフォルニア米)がうずたかく積みあがっています。この十一年間に投入された税金はなんと二千六百四十一億円。政府は、輸入があたかもWTO農業協定上の「義務」であるかのようにいいますが、本来、輸入は義務ではなく「輸入の機会を提供する」というものにすぎません。いま、米の国際価格が高騰を続けています(グラフ)。このため、農水省が四月二十二日に六万二千五百トンのMA米入札を行ったところ、成約がはじめてゼロに。これは、価格が高すぎて買えなかったという理由からです。日本農業新聞も「MA米異変―日本の輸入、時代に逆行」との社説(五月十二日付)を掲げ、「MA米をあせって調達するのは禁物だ」「日本が輸入義務を負う必要はない」と言い始めました。
「狂気のさた」と外国から批判がまたアメリカの新聞ワシントン・ポストは、五月十九日付の社説で「日本のMA米の山を見よ。政府は家畜のエサとして放出し始めた。狂気のさただ。日本人は食べたくないのだから、他国の人に味見ぐらいさせてもいいだろう。家畜のエサやエタノールにするより、国際市場に放出すべきだ。豊かな日本が世界一のため込み屋になるのは、誰の利益にもならない」と、日本政府を批判。つい先ごろまで国際援助に背を向けていた農水省は、フィリピンからのMA米二十万トンの支援要請を受けて、真っ先にアメリカ政府と協議。「WTO協定に違反するものではない」とアメリカの支持も取り付けて、この要請に応えることを決めました。 日本が“義務だ”と言ってMA米を輸入することは、米不足と国際価格の高騰に手を貸すことにつながります。また家畜のエサにまわすことは、飢餓人口が増加するなかで人道上も許されません。 MA米は、海外援助にまわすなどして在庫を一掃するとともに輸入はただちに中止すべきです。
(新聞「農民」2008.6.9付)
|
[2008年6月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2008, 農民運動全国連合会