地球を襲う食糧危機の下で大もうけ(1/4)
穀物メジャー利益なんと20倍飢餓よそに投機マネーに狂奔「食糧高騰は静かなツナミ」―途上国などへ食糧援助を続ける世界食糧計画(WFP)のシーラン事務局長は、いまおこっている食糧高騰を国境に関係なく押し寄せるツナミにたとえ、「食糧を増産するための長期的な戦略が必要」と訴えています。七月のG8サミットを前に、急きょ国連食糧農業機関(FAO)の呼びかけで「食料サミット」が開かれますが、いまこそ地球規模での緊急な対策が求められています。
食糧価格の暴騰がアフリカやアジア、ラテンアメリカを直撃し、現在の八億五千四百万人に加えて、新たに一億人が飢餓に直面 しています。 その一方で、大もうけしているのが、投機ファンドやアグリビジネス。 アメリカの新聞「ウォール・ストリート・ジャーナル」(四月三十日)によると、最大の穀物メジャーADM(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)社の今年一〜三月期の穀物販売部門の利益は、前年の八倍。カーギル社が約二倍、ブンゲ社は二十倍です。さらに遺伝子組み換え種子を独占しているモンサント社は二倍、肥料メジャー・モザイク社の利益は十一倍強。 日本版穀物・資源メジャーというべき総合商社六社の純利益(資源・エネルギー部門)は六千三百八十二億円から、ついに一兆円を超えて一・六倍にふくれあがっています。
「小さな池で鯨が暴れている」穀物や原油の異常な高騰の引き金になっているのは投機マネーの暗躍です。低所得者に無理やり住宅ローンを貸し付けて破たんした「サブプライムローン」問題が顕在化した昨年七月以降、巨大な投機資金が商品市場に流れ込み、株を買うような感覚で原油と穀物を買い占めているのです。とくに年金マネーなどを運用する商品指数連動型投資(CIT)は、穀物取引の最大の拠点であるシカゴ市場で小麦四四%、大豆二八%、トウモロコシ二三%を買い占めて相場を暴騰させています(四月二十九日現在)。 世界の年金マネーは二千兆円。一方、穀物市場は最大のトウモロコシでも六〜七兆円。小さな池で暴れる鯨のように、市場を大かく乱しているのが実態です。 ところが、イギリスのヘッジファンド幹部は「現在の食糧危機を考慮すれば、食糧価格は変動が大きく不安定なので、ヘッジファンドにとっては素晴らしい投資先であり、利益をあげられることは目に見えている」と公言しています。
「極悪非道」に厳しい規制をこういうゾッとするほど冷酷で鉄面皮な態度を、イギリスの雑誌『ニュー・ステイトメント』(四月十九日)は次のように厳しく告発しています。「価格が上昇すればするほど投機資本やアグリビジネスの利益は増え、さらに大もうけを狙う者が投機を引き起こす」「彼らの利益は一日二ドル以下で暮らす二十八億人の命と引き換えなのだ」と。世界の貧しい人々の命と引き換えに大もうけを追求する「極悪非道」(チャベス・ベネズエラ大統領)に対する厳しい批判と規制が求められています。
(新聞「農民」2008.6.9付)
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[2008年6月]
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