「農民」記事データベース20061113-756-09

世界的視野で食料主権の確立をめざし、
地域で農業と農村を再生する運動を広げ、
強固な農民連をつくろう!(5/5)

農民連第17回定期大会決議(案)

二〇〇六年十一月一日 農民運動全国連合会常任委員会

関連/世界的視野で食料主権の確立をめざし、地域で農業と農村を再生する運動を広げ、強固な農民連をつくろう!(1/5)
  /世界的視野で食料主権の確立をめざし、地域で農業と農村を再生する運動を広げ、強固な農民連をつくろう!(2/5)
  /世界的視野で食料主権の確立をめざし、地域で農業と農村を再生する運動を広げ、強固な農民連をつくろう!(3/5)
  /世界的視野で食料主権の確立をめざし、地域で農業と農村を再生する運動を広げ、強固な農民連をつくろう!(4/5)
  /世界的視野で食料主権の確立をめざし、地域で農業と農村を再生する運動を広げ、強固な農民連をつくろう!(5/5)


(7)平和と暮らしを守る共闘を

 国民共同の軸である国民大運動実行委員会を強化し、すべての都道府県で結集し、運動を広げましょう。核戦争阻止・核兵器廃絶、安保条約の廃棄、社会保障の充実など、平和と暮らし、民主主義を守る共同の運動を広げましょう。政治革新をめざす革新懇運動は重要な柱です。農村での政治革新の世論を広げるために地域革新墾づくりを進めましょう。

 〇七年にたたかわれる統一地方選挙、参院選挙は、農政を変える絶好の機会です。会員の政党支持・政治活動の自由を堅持し、農民の要求が実現される国会をつくるためにたたかいましょう。

V すべての農家に働きかけることができる組織に

 農民連行動綱領前文は「農業と農村を愛し、農業にまじめにとりくんでいる農民(農業者)が専業・兼業を問わず、また支持する政党、思想・信条、宗教の違いをこえて広く結集し、わが国の農業と食糧問題の将来を心配する広範な国民ともすすんで団結して、存亡の危機にある農業と農民経営を守る、新しい自主的な農民運動の量・質とも強大な発展をはかること」が求められていると述べています。今日ほど、全会員と組織が行動綱領に団結し、組織的前進を勝ち取ることが求められているときはありません。

(1)行動綱領の目標を実現するためのポイント

 1 新聞「農民」の持つ役割と展望

 行動綱領が規定している農業にまじめにとりくんでいる農民を広く結集し、農業と食糧問題の将来を心配する広範な国民と団結を広げるためには、働きかける「術」(すべ)が必要です。この「術」こそ、新聞「農民」です。

 「農民」は、悪政とたたかうための情報と真実を伝え、全国の仲間の運動と息吹を伝え、食と農を守る国民合意の宣伝者としての役割を持っています。新聞「農民」が農村と都市で広範な読者を持つならば、私たちの想像を超える運動が日本中から澎湃(ほうはい)と起こってくるでしょう。まさに新聞「農民」なくして農民連の運動と組織の発展はないといっても過言ではありません。

 2 国内すべての農村を網羅する組織体制の確立

 農民連は、四十七都道府県連を有する組織に発展してきました。しかし、会員空白の市町村が多数残されています。

 また、すべての市町村を網羅する組織体制が確立されていません。行動綱領が示す目標をやりあげるためには、最低限、すべての市町村を網羅する組織体制の確立が不可欠です。自治体合併が進み、これに対応するという面からも組織のありようを見直すことが求められています。

 農民連がめざす運動を日常的・恒常的に進めるためには、単組が役員体制と専従者、そして事務所をもつ組織になることが不可欠です。茨城県連や福島県連の教訓、そして奈良県連のとりくみは重要な経験です。組織の再編・確立を進める場合、組織の現状からだけでなく、組織拡大を展望した議論を先行させ、会員の合意と納得が必要です。そのための役員や指導部のイニシアティブが重要です。

 3 支部こそ農民連の運動を実践する組織の要

 単組の機能を軌道に乗せるためには、市町村単位を目安にした支部の確立が必要です。支部は、会員が日常的に集まり、話し合い、活動する単位であり、会員がすぐに集まれて、会員から相談があった場合に事務局がすぐに出向いて対応できる範囲で確立することが大切です。

 支部は、分担して役員を決め、財政を確立し、定期的に役員会を開いて運営しましょう。自治体に会員の要求の実現を求め、農業振興策を提案する活動は支部の大切な活動です。

 4 方針と要求が相互に伝わる一体感ある組織づくり

 会議が定期的に開かれ、会員の要求が会議に反映されること、方針が会員に伝わることが大切です。そのためには、地域から選出されている役員が会員の要求や実態をつかんで会議に参加し、方針を地域で報告し、具体化や実践の先頭にたちましょう。

 また、「農民」をすべての会員が購読してよく読む援助を強めるとともに、すべての都道府県連と単組が、最低限、月一回のニュースを発行するようにしましょう。

 会議は、要求が交流され、どんな運動を進めるかを話し合う場であり、新しい情報を知る学習の場でもあります。「農民」を情報として活用することを含め、情報があふれる会議にしましょう。また、多様なテーマで学習を大いに進めましょう。

 5 要求運動の発展こそ会員拡大を前進させるカギ

 多様な要求を実現する運動への参加を広げることこそが会員拡大を前進させる最大のカギであり、これは会員拡大を前進させてきた組織に共通する教訓です。一方、前進を勝ち取れていない組織に共通する弱点は要求運動の弱さにあります。特に、要求運動の柱である税金要求を正面に据えていない組織ほど会員数も小さいというのも共通しています。

 農業を続けることを困難にし、暮らしを著しく圧迫している今日の情勢は、農民の要求を多様化させ、農民連が農家の暮らしのあらゆる場面にまで踏み込んで要求をとらえ、その実現のために奮闘し組織化することを求めています。地域を元気にするために農家の生産意欲を引き出す生産活動を強めることが要求運動の最も大きな柱です。

(2)二年間の組織づくりの計画

 1 目標について

 都道府県連や単組が、地域で生産を担い、農政を変える力をもつためにどんな組織をめざすのかの議論を深め、大志ある組織作りの戦略をもつことが決定的に重要です。

 会員では、過去最高現勢を一日も早く回復するとともに、全国的には農家戸数の二%、販売農家の約三%(五万七千人)の世帯会員をめざします。新聞「農民」では、三万部の峰を一日も早く実現し、会員数の一・五倍の「農民」読者目標を基準にします。

 2 拡大推進委員会の設置と担当者の配置を

 本部は「拡大推進委員会」を設置し、役員と事務局が一体となって会員と読者拡大を推進するために努力してきました。拡大は、推進を担う体制なしには日常的なとりくみになりません。すべての都道府県連に「拡大推進委員会」を設置し、拡大担当者も決め、日常的にとりくみましょう。

 3 情勢を踏まえた多面的な農民の結集を

 品目横断対策から除外される農家や高齢者などを結集して、生産や多様な運動に参加できる組織になることが重要になっています。高齢化のなかで、会費が納められなくなって脱退するという状況もあり、こうした農家の会費の減免や、条件に応じて日常的に運動に参加できるようにするための改善が求められています。

 また、がんばっている農家やグループに加入を呼びかけるとともに、運営や経営の要求を募らせている集落営農組織、農協の生産部会などにも加入を呼びかけましょう。

 日販連に加入する農協が増えるよう協力し、多様な事業提携を強めます。

 4 新聞「農民」の充実と読者拡大について

 月一回のカラー化や大文字の採用などの紙面改善は、読者拡大を進める条件を広げています。読者の意見を踏まえて紙面をさらに充実させる努力を強めます。

 新聞「農民」のテーマは「みんなでつくろう、ものいう『農民』」です。会員が自らの思いを「農民」を通して表現することこそ「農民」を充実させるカギです。多くの会員が紙面づくりに参加することは、「農民」をより身近で親しみあるものにし、読者を拡大する力にもなります。都道府県連と単組は、積極的に通信を呼びかけましょう。すべての都道府県に「通信員」を配置するなど、日常的に通信活動を促進するとりくみを抜本的に強めましょう。

(3)女性の要求を実現し、元気の出る女性部活動を

 家族経営を支え、地域で生産や加工の先頭に立つ女性を結集することは、地域農業を元気にし、農民連運動の発展・強化にも欠かせません。

 女性が力を発揮した地産地消、生産や販売、消費者との交流などのとりくみをさらに発展させましょう。健康、介護、子育てなど、女性の多面的な要求を大切にしたとりくみも重要です。

 世帯会員の六割を目標に女性会員の登録を進め、すべての都道府県連と単組で女性部を確立しましょう。女性部をサポートするために、都道府県連に女性役員の配置や事務局を配置しましょう。

(4)青年の結集と青年部づくり

 農業と地域の未来を担う青年を確保することは、農山村の住民の切実な願いであり、農民運動の継承者を確保するうえでも緊急課題です。青年対策を青年部だけでなく農民連全体の重要課題として位置づけ、抜本的に強化しましょう。

 自治体に青年就農支援、技術研修などの制度化を働きかけるとともに、青年が直ちに就農しなくても、農山村に住み続けることができるよう雇用対策を要求しましょう。都市の青年のなかで広がっている就農希望を受け入れて支援する制度を国・自治体に要求して運動を進めましょう。

 青年と結びつきを広げ、要求運動への参加を呼びかけましょう。東北ブロックがブロック交流集会とあわせて青年を中心に県対抗ソフトボールを開催して喜ばれていることは重要な経験です。青年が自主的に集まれる機会を提供し、友情と連帯感をはぐくむとりくみを強めましょう。

 青年との結びつきを広げ、要求にもとづいて自主的に運動する青年部の確立を都道府県、単組で進めることは、青年対策の重要な柱です。青年部をサポートする「青年担当」を都道府県や単組に配置し、会員のなかの後継者名簿を作成し、一人ひとりの青年と対話をして「青年会員」として登録し、青年部への加入を呼びかけましょう。

(5)財政について

 本部財政は、会員と新聞「農民」読者の減少によって収入が減少しています。これは、県連や単組の財政も例外ではありません。一方で、運動の発展にともなう支出の増大は避けられず、厳しい財政運営を余儀なくされています。本部への滞納を特段の努力で解決した県連や、毎月地道に解決の努力をしている県連がある一方で新たな滞納が増えている県連もあります。

 長期にわたる本部への滞納を抱える県連の特別の奮起を求めます。同時に、新しい滞納を作らないために、毎月のとりくみを重視することが決定的に重要です。

 財政問題は、組織問題です。組織の動向を常に把握して機敏な対策をとることが滞納を作らない保証です。本部も県連も「組織・財政対策」を強めましょう。会員拡大と新聞「農民」読者拡大は、財政を強化する面からも重要な課題です。

〔前ページ〕<< □         

(新聞「農民」2006.11.13付)
ライン

2006年11月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-22249

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2006, 農民運動全国連合会