旅立ちの春 農の未来に若い夢かけて(3/4)
卒論は「実家の畑の土研究」
茨城・鉾田市箕輪竜さん
長イモの栽培に没頭
茨城・鉾田市の箕輪竜さん(23)は昨春、東京農業大学を卒業し、両親とともに五ヘクタールの畑で長イモ、ニンジン、ジャガイモなどを作っています。一年を振り返って感想を聞くと、「親父のすごさを実感した」と、素直な答えが返ってきました。
「兄弟の中では一番仕事場に来た」と、母親の明美さん(49)。今春、イチゴ狩りに来た東京新婦人の会員は、十年前に「大きくなったら農業やるんだ」と言った竜さんを覚えていて、感動の再会を果たしました。
でも、「大学に行く前は継ぐかどうか半々だった」と竜さん。「農業の魅力を再発見した」のは、恩師や友人との出会いです。長期休暇には、同じく農業後継者の友人の実家を訪ねて刺激を受け、担当教員である後藤逸男教授の「将来継ぐつもりなら自分の畑の土を知らなければならない」という助言で、実家の畑の土の研究を卒業論文に選びました。
それ以来、土を研究室に送って分析。今年は、奇形長イモを減らす実験に、普及センターの力も借りてとりくみます。土壌肥料学会や線虫学会にも入会する研究熱心さ。そんな竜さんを、父親の隆蔵さん(53)は頼もしく感じています。
隆蔵さんは、鹿行産直センターの副代表理事を務めるかたわら、主力の長イモを四ヘクタール作ります。とくにこの時期は、昨年産の収穫と今年の作付けの準備が重なり、目の回る忙しさ。トラクターの運転免許を取得した竜さんを頼りにします。
今年は税金の申告も一緒にやりました。「経営内容を理解しておいてほしい」という思いからです。そのうえで「これからどんな農業をめざすのか、自分なりに見つけてほしい」と思っています。
「お客さんに喜ばれるおいしいものを作り、消費者と結びついていけばチャンスはある」と決意を語る竜さん。そして「情報を交換しあって、一緒に日本の農業を支えていこう」と、全国の後継者にエールを送ります。
(新聞「農民」2006.4.10付)
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