「農民」記事データベース20050418-680-08

徹底検証

政府の農政新「基本計画」は何をねらっているのか(4/4)

輸入増え 安値は続き将来(さき)みえず
世直しせねば 生きる術(すべ)なし(詠人不知)

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大企業「特区」を全面展開

農地法の解体もねらう

 農地制度では、昨年八月の「中間論点整理」で、農地法の解体=全面的な株式会社の農地・農業参入に検討の余地が残されていましたが、新計画では「意欲と能力のある者(株式会社を含む)の農業への新規参入を促進する」とし、当面「その一環として」、構造改革特区を全国展開することにしています。

 現在、構造改革特区において農地のリース方式で農業経営に参入している株式会社やNPOなどは、三十八法人。そのほとんどが地場の建設業や食品産業で、「コストを上回る収益をあげていないものがほとんど」(農水省)です。居酒屋チェーン「和民」の子会社・(株)ワタミファームが直営農場を経営していますが、とても計画書どおりに収益があがっていないことは、関係者の証言で明らかです。早くも撤退した後の農地の荒廃を心配する声があがっています。

 財界の参入へ二つの側面

 もっとも、この問題には二つの側面があります。一つは、財界の圧力で農地法の解体をめざしてきたものの、国民の強い反発の前に、当面は構造改革特区の全国展開に限らざるをえなかったという面です。もう一つは、構造改革特区の全国展開を足掛かりに、農地法に大穴をあけ、解体をめざすねらいです。

 これからが正念場です。大企業の農地支配を許さず、家族経営の応援こそ必要です。


「安心」の文字削る

業界圧力で重大な後退

 また「食の安全・安心」の問題では、財界・外食産業代表の発言によって、新「基本計画」から「食の安心」という文言をすべて削除してしまいました。確保されている「食の安全」を個々人が「安心」として実感できることが社会的なゴールのはずです。「安心」の文言削除は、「食の安全・安心」行政の重大な後退と言わなければなりません。


食と農守る国民的運動へ力を合わせ

 農民連も参加する全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)はいま、多くの国民との共同で、「国内生産を増やし、国の責任で、食料自給率を抜本的に向上させること」を求める百万人署名に取り組んでいます。

 いま求められていることは、農家だけでなく地域住民や消費者と力をあわせて、新「基本計画」で農業つぶしを推し進める小泉内閣の農業版「構造改革」による農政をおおもとから転換することではないでしょうか。


財界の本音がくっきりと

経団連常務理事 立花宏氏の発言

 「特区で認められているリース方式の全国化が決まったことは一歩前進。二〜三年後までには功罪を検証し、議論をさらに進める必要がある。農地をどう有効利用するかという観点で、株式会社の農地取得も検討してもらいたい」
(日本農業新聞3月23日付)


絶対許せません

新婦人の会(東京) 宮坂良子さん

 安全・安心な食料を求める私たちは、農家の方が安心して精いっぱい生産できるようにしてほしいと願っています。さらに「食の安心」を削ったことは許せません。まして農業に大企業を入れるなんて、利益があがらなければやめてしまうことになりかねません。


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(新聞「農民」2005.4.18付)
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2005年4月

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