徹底検証政府の農政新「基本計画」は何をねらっているのか(1/4)これが小泉流戦後農政総決算工程表?!
小泉内閣は三月二十五日、今後十年間の農政の方向を示す新たな「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定しました。
食料自給率目標を放棄無責任な数字操作でごまかし新「基本計画」の中で、焦点となっていた食料自給率(カロリーベース)の目標は、これまでの「基本計画」で定めた「二〇一〇年度までに四五%」を棚上げし、五年先延ばしして二〇一五年度の目標にしました。この五年間で、自給率は五%アップどころか、小数点以下でいえば下がっています。ところが政府は、自給率が上がらなかったのは、消費者が飽食を改めず、輸入激増と価格暴落のもとで、農民が「計画」どおりに生産しなかったからと国民に全責任をかぶせ、政府自身の責任にはまったくほおかむりしています。 それもそのはず、いまや農政をあやつる財界の本音は、「現段階で食料自給率の数値目標を掲げるべきではない」(経済同友会二〇〇四年三月)。しかし、さすがに国民世論の前にそれはできず、そこであらわれたのが、金額ベースの自給率(七〇%)です。 四〇%ではいかにも低い印象を与えるが、七〇%だとそうでもない――。見えすいたパフォーマンスと舌先三寸で政権を維持してきた小泉首相ならではの“猫だまし”――これが、金額ベース自給率をカロリーベース自給率と同格の目標にした最大の動機です。 そもそも金額ベースの自給率は、為替相場や関税に左右され、円高になれば自給率が上がることになります。国民の食料の実態を示す指標としても、国際比較のデータとしても、ほとんど使い物にならない金額ベース自給率を、財界の要望にこたえて使うことにしたところに、まじめに自給率向上に取り組む気がないことが示されています。
(新聞「農民」2005.4.18付)
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[2005年4月]
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