徹底検証政府の農政新「基本計画」は何をねらっているのか(3/4)輸入増え 安値は続き将来(さき)みえず
|
関連/徹底検証/政府の農政新「基本計画」は何をねらっているのか(1/4) /徹底検証/政府の農政新「基本計画」は何をねらっているのか(2/4) /徹底検証/政府の農政新「基本計画」は何をねらっているのか(3/4) /徹底検証/政府の農政新「基本計画」は何をねらっているのか(4/4) |
農水省が示しているモデルでは、四十四ヘクタールの集落営農経営で「農民」といえるのは、たった一戸。三十〜四十戸の集落で、一戸だけ農民を残し、あとは全部やめることを「合意形成」する――こんなことができるはずはありませんし、これを強行すれば、村はこわれてしまいます。さらに、自家飯米さえ買わなければならなくなるという事態さえ想定されます。
集落営農とは集落をひとつの単位に営農。現在約一万ある集落営農のなかで、九割は集落内の農地調整と機械の共同利用を目的とするもので、「集落内の営農を一括管理・運営」は十二%にすぎない。米改革ビジョンで認定された「集落型経営体」は、全国でわずか百十三組織。
農水省は、新「基本計画」で、水田十四ヘクタールの経営で年間所得五百三十万円というモデルを示していますが、その前提は、米価一俵(六十キロ)あたり一万六千四百四十五円。
ところが米価が一万二千円に暴落すれば、所得はわずか百六十六万円!(図)。十六ヘクタールも作って、パートかアルバイト並みです。これが農水省が育てようという「担い手」の年収です。再生産費も保障されない米価で、どうして農業を続けることができるでしょうか。
いま求められている政策は、全国稲作経営者会議(会員約千五百人、平均経営規模約二十ヘクタール)の井田磯弘議長が、「下支えのセーフティ・ネットが欠落している。第二次生産費(一万四千円)を下回った場合には、その差額を補てんするような『最低粗収益保障制度』の創設がぜひとも必要」(農業協同組合新聞05年2月1日)と述べているように、価格政策をベースに直接支払い制度で補完する仕組みです。
小規模農家救えぬ
岩手の農家 久保田彰孝さん
政府が推し進める担い手への集約を中心とした集落営農では、小規模農家を救うことはできない。県内でも集落ビジョンづくりのなかで「一元経理をめざす」というが、簡単には進んでいない。それをムリに推し進めれば地域社会が破壊されてしまうだろう。
[2005年4月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2005, 農民運動全国連合会