ものを作ってこそ農民!
大企業の農業・食糧支配を許さない
「もう一つの流れ」を強く大きく(3/4)
農民連第16回定期大会への報告
=大要=
〔3〕農業破壊を許さず、食料自給率を向上させる方針について
(1)WTO・FTAによる関税の引き下げ・撤廃、「農業構造改革」を許さない運動
1、 WTO・FTAとのたたかいは当面の重要課題
日本農業と地域経済に重大な影響をもたらすWTOやEPA・FTAによる関税引き下げ・撤廃や、「農業構造改革」とのたたかいは、当面の重要課題です。地域を守ることを前面にして国民的議論を喚起するため、学習や宣伝、シンポジウム、地方議会請願など中央・地方で多彩な運動を広げましょう。
百四十八万トン(〇四年十月末)も積みあがっているミニマム・アクセス米は価格暴落を加速させWTOの弊害を象徴する存在です。国際連帯とも結んで、ミニマム・アクセス米を削減・廃止させる運動を広げましょう。運動を国際的視野で前進させるために、食糧主権を提唱してたたかっている国際的農民組織である「ビア・カンペシーナ」への加入を検討します。
2、 国民の主食・米を守る運動
(1)「米改革」の中止と、多様な担い手支援を要求して
「米改革」に対する農民連の立場は、「米改革」を中止し、政府が米の生産と安定供給に責任をもつこと、家族経営を基本に農家の要求や地域の条件を尊重した多様な担い手を支援することです。また、生産費を償う価格の下支え制度や、棚上げ備蓄を前提に二百万トン以上の備蓄、大手業者の横暴を許さない制度を確立することです。同時に、生産から撤退せず米を生産し続けることが、もう一つの立場です。農家の目線に立って、自治体、集落ぐるみの助けあいによる米づくりを進め「地域水田農業ビジョン」を、多数の生産者を米づくりから締めだす方向ではなく、多様な担い手を確保して生産の維持・拡大に役立つものにすることなどを実践し、自治体や農協にも提案・協力して取り組みを進めましょう。
(2)「準産直米」のとりくみの飛躍を
米をめぐる新たな事態のなかで、「準産直米」のとりくみを飛躍させることがいよいよ重要です。産地と結びつくことは米流通業者にとっても切実な要求です。安心・安全な米づくりの努力とあわせ、広範な農家に取り組みを知らせ、相談会や説明会を無数に開いて農家の参加を大きく広げ、単位農協や生産グループとも対話して共同の取り組みを広げるなど、年間を通した供給を望んでいる業者の期待に応えられるようにとりくみの規模を飛躍させましよう。
3、 安心して生産が続けられる価格保障の実現を要求して
世界でも日本でも、農業の持続的発展、環境や文化を守るためには価格保障は不可欠であり、食糧主権の重要なポイントも生産コストをカバーできる価格保障にあります。大豆、小麦、砂糖、牛乳などの価格保障制度の廃止を許さず、主要農産物の価格保障の実現めざして運動を広げましょう。農産物の価格保障実現の運動を、労働者の全国一律最低賃金の確立など、生存権を保障する最低限のルールを求めるナショナルミニマム確立の運動の一環として発展させましょう。
4、 株式会社の農地支配を許さず、家族経営を守る運動
株式会杜の農地所有を許さないために、農業委員会や農業会議をはじめ、広範な農業関係団体などと共同して運動を広げましょう。大企業の農業への参入に反対して運動を進めましょう。
5、 災害復旧の運動
新潟中越地震や台風被害から復興させるとりくみが重要です。今春の作付けを可能にすることを最優先にして農地や施設の復旧、ハウス資材の確保を求めて運動を進めましょう。
6、 自給率向上の国民署名の推進と、食健連の発展
「自給率向上国民署名」は、農業・食糧を守り発展させる国民運動の軸となる運動です。当面の目標である百万筆を達成し、さらに国民的規模に発展させましょう。地方議会で「地産地消都市宣言」を採択させる運動や、学校給食などの地産地消の推進と結んで広げましょう。農業と食、健康を守る食健連運動は、農民連運動の車の両輪です。食の安全や地域農業にかかわる多様な要求運動を、地域経済を活性化させ安心して住み続けることのできる地域づくりと結んで運動を広げましょう。すべての県と単組で食健連をつくりましょう。
7、 協同の発展、自立した自治体づくリ、農業委員選挙のとりくみ
家族経営を否定し、農民の協同と農協に攻撃が向けられているなかで、農協を農民の要求と地域農業を守るために民主的に発展させることが重要です。「準産直」や米価対策など一致点を大切に、共同を広げましょう。市町村合併の押し付けに反対し、住民と共同して自立した自治体をめざす運動を進めましょう。今年のいっせい農業委員選挙は、農地制度を破壊し、農業委員会の役割を骨抜きにする攻撃の中で重要な意味をもっています。農民連の会員を農業委員会に送る取り組みを強めましょう。
(2)農業・食糧をビジネスチャンスにする財界戦略に抗した 「もう一つの流れ」の拡大を
1、 自給率を向上させる生産の拡大を農民運動の中心課題として
多数の農民が農業から撤退せず生産を拡大すること、農業でがんばる人を増やす運動、安全で信頼できる農産物を生産する運動は、中心的な課題です。生産の拡大は、専業農家が経営を守ってがんばるとともに、「農業構造改革」や「米改革」によって生産から排除される対象である女性や高齢者の力を生かすことです。地域の条件にみあった多様な実践を大いに進めましょう。
直売所や朝市、学校や幼稚園・保育園、病院への食材の供給、生協店舗や地元スーパーでのインショップ、商店街と提携した空き店舗の活用など、地産地消のとりくみをすべての地域で進めましょう。消費者との合意を広げ、安全な農産物を生産するための栽培技術の向上、表示や生産履歴の記録など、学習や交流を進めましょう。
2、 「農民連ふるさとネットワーク」を生かしたとりくみ、新婦人産直の発展を
すべてのブロックと都道府県ネットワークが「ものづくり計画」と「販売戦略」をもって取り組みを前進させましょう。「準産直米」を発展させるとともに、ジャガイモ、玉ネギ・ニンジンや落葉果樹、柑橘、加工品などの販路拡大、都市の学校給食や市場などへのリレー出荷を具体化しましょう。全国の豊かな農産物をカタログで紹介するとりくみ、「生産物調査」を確実にやりあげましょう。
新婦人会員との産直は産直の要です。学習や交流、消費者の要求と信頼に応える安全で安心できる農産物を届けるために力をつくしましょう。とりくみの現状や改善点を明らかにし、今日の情勢や新婦人会員の要求を踏まえ、広範な消費者を対象にした運動に発展させる方向を一緒に練り上げましょう。ネットワークを安全で豊富な品ぞろえにも役立たせましょう。
(3)重税阻止、固定資産税の負担軽減、国保税の引き下げなど暮らしと経営を守る運動
農民の税金に対する要求はますます切実です。記帳簿を軸に助け合って自主計算・自主申告する運動を広げましょう。新たに消費税課税業者にされる会員への援助を強めるとともに、すべての市町村で全農家規模の宣伝、相談会の開催、会員による「一人紹介運動」を全国で進めましょう。消費税を含めた税金相談員養成にも取り組みましょう。ブロックでの税金運動の交流、全国規模での運動の交流や研究会にとりくみます。本部の税金対策部体制を強化します。
全国的に固定資産税が増税されているもとで来年の評価替えに向け今年のとりくみが重要です。
政府に国保への国庫負担の増額要求、自治体での減免制度の確立を求め、積極的に減免申請を行いましょう。介護保険制度の改悪を許さず、安心できる介護制度を実現するための運動、自治体に対して保険料、利用料の減免を要求して運動を進めましょう。
(新聞「農民」2005.1.31付)
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