ものを作ってこそ農民!
大企業の農業・食糧支配を許さない
「もう一つの流れ」を強く大きく(2/4)
農民連第16回定期大会への報告
=大要=
〔2〕2003年、2004年の活動を振り返って
1、「農民の苦難あるところ農民連あり」農民連の存在感と期待を高めた運動
二〇〇四年は国連が呼びかけた「国際米年」でした。食健連と共同して「国際米年キャンペーン」を全国で展開してきました。また、政府が「国際米年」とは逆に米の輸入を前提に生産を縮小し、多数の農家を米づくりから締め出す「米改革」を推進していることを批判し、二度にわたって百八十万枚の新聞「農民」号外を発行するなど、「米改革」の中止と稲作を再生する提案を示して運動を展開してきました。
「米改革」に抗した「準産直米」のとりくみは、不作や価格暴落の影響を受けながらも農民連ふるさとネットワークの結成を力に、これまでの最大の規模となり、農協との共同にも発展するなど前進していることは重要な成果です。
「国内農産物の増産で食料自給率を向上させる国民署名」は歓迎され、「地産地消都市宣言」運動など、地域での生産拡大と自給率を向上させる契機になる展望を生み出しています。
消費税問題で課税免税点が一千万円に引き下げられたことに対応した学習会・相談会のとりくみ、固定資産税を軽減する運動、減免軽油、資材の共同購入など、農家の経営に役立つ多面的な要求運動が各地で前進しています。
相次ぐ台風・長雨、新潟中越地震などで、すべての都道府県組織が何らかの活動に参加した救済活動は「農民・国民の苦難あるところ農民連あり」の立場に立つ生産者集団としての真価を発揮した特筆すべきとりくみでした。
2、 農業破壊と大企業の農業・食糧支配に抗したネットワークづくり
「農民連ふるさとネットワーク」を〇四年八月に立ち上げ、とりくみを前進させていることは大きな成果です。多くの農民はもとより農協や生産グループ、農業を基幹とした自治体、また、安全・安心の食を願う広範な消費者・国民、そして、これらの人々と結びついてがんばっている中小流通業者を大きく激励し展望をもたらしています。
3、 食糧主権の確立を求める国際連帯活動
WTO協定の改定を要求して、食糧主権を求める運動を対置し、国際連帯の活動を前進させてきました。多くの国際会議に参加し、昨年四月には、全国食健連と共催した「WTO協定と食糧主権確立に関する国際シンポジウム」を成功させました。
この間の運動で私たちは世界の農業危機の深化と飢餓を拡大している元凶がWTO体制にあることや「食糧主権」の確立を求める世界の農民の団結とたたかいがWTO体制を包囲していることをつかみ日本で進んでいる大企業の農業・食糧支配に抗した生産の拡大と多様な産直、学校給食などの地産地消のとりくみが「食糧主権」の確立に接近する運動として国際的に注目されていることなどに確信を深めてきました。
4、 農民連食品分析センターの機能強化を
農民連食品分析センターが、カドミウムなど重金属の分析機器を配備し、体制強化を実現したことは、今後の運動にとって大きな財産となるものです。募金を寄せられたすべてのみなさんに心から感謝します。食品分析センターを完備している農民連は、国民や農家にとって魅力ある存在であり、国際的にも注目されています。食品分析センターを安全・安心できる農産物の生産に生かし、国民の食の安全に応えた情報発信のとりでとして発展させましょう。
5、 平和と民主主義、暮らしを守る国民共同の発展
農民連は、有事法制やイラク戦争、憲法を踏みにじった自衛隊の派遣など、戦争と平和をめぐる問題、年金法の大改悪、消費税などの増税、生存権すら否定する悪政を許さないたたかいに、広範な国民と共同して全力をあげました。また、改憲阻止とともに、二五条に規定された生存権を保障する最低限のルールづくりである「ナショナルミニマム」を確立する運動を、新たな共同の課題に広げるために力をつくしてきました。小泉「改革」による国民犠牲が農業だけでなく、国民生活のあらゆる分野に及んでいるもとで「国民のたたかう力」を拡大するために要求の一致を広げ広範な階層との草の根からの共同がますます重要です。
6、 会員拡大と、新聞「農民」読者拡大について
第十四回大会で決めた「財政健全化三カ年計画」を前倒しで達成することができました。農民連結成以来の組織的困難を全国の団結で克服できたことは、今後の組織と運動の発展にとって重要な成果です。財政の健全化は、十月から新聞「農民」を月一回カラー化するなど、紙面を改善・充実する条件を広げ、「食と農を守る共同の新聞」としての値打ちをますます高め、多くの会員や読者から歓迎されています。
組織的には、持続的・継続的な奮闘によって要求運動と組織運動を発展させ、組織現勢を前進させている県連組織があることは貴重な成果ですが、全国的には会員数が減少傾向にあり、新聞「農民」読者数も減っています。この原因は、農業破壊攻撃のもとでの離農などによることもありますが、本部の推進体制やイニシアチブを含め、会員と新聞「農民」読者を拡大する目的意識的なとりくみの弱さと、対話と呼びかけの規模が決定的に少ないことにあります。農民連全体の前進面や農民連への期待の高まりに比べて、組織と読者数の拡大が依然として最も立ち遅れた分野になっていることを直視し、今大会を組織的飛躍の結節点にするために奮闘することを呼びかけます。
(新聞「農民」2005.1.31付)
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