安心・安全安心・安全 国産大豆の自給率を上げよう(3)
県産で作った大豆製品の供給を地域ぐるみで消費者、生産者、メーカーが共同「ふくしま大豆の会」「大豆を蒸した時に、国産か外国産かの違いが誰でもわかる。国産の大豆は香りも味も非常にいい。ぜひ見学して国産のすばらしさを体験して自信をもってもらいたい。地産地消は本当に大切」――六月二十日、福島県の「ふくしま大豆の会」を取材するために福島県連の根本敬事務局長と一緒に福島市の内池醸造を訪れ、石田利勝専務にインタビューしたとき、石田専務は開口一番、こう強調しました。石田専務は、永年にわたり味噌、醤油の製造に携わってきた技術者として、国産の良さを体ごと知り尽くしている誇りがビンビン伝わってきます。
「大豆の会」は福島県内の消費者、生産者、メーカーが協力し、県内産大豆を買い支え、安全・安心な大豆製品を作り、供給することを通じて自給率を高めようと一九九八年七月に発足。農民連の会員は、農協の生産組織としての「大豆の会」に加入し、各地域での会設立に奮闘しました。全国的にも画期的な組織として新聞やテレビにも紹介され、「農業白書」でも取り上げられるほど注目を集めています。 「大豆の会」の構成団体は、JA福島中央会、福島県農民連、内池醸造、コープフーズ、今川屋、蓬莱たまごの会、生協コープふくしま、生協コープあいづ、福島県南生協、いわき市民生協、福島県生協連。 「大豆の会の誓い」があります。それは、▼だれもが安心、県産大豆▼いちばん品質、おいしい大豆▼ずっと続けて、生産します▼のうさんぶつの自給を高め▼かいささえます▼いっしょに育てよう大豆の会。それぞれの頭の一文字をつなぎ合わせると「だいずのかい」になります。この誓いは大豆の会の性格を端的に表しています。
トレーサビリティの確立を現在、市場流通する県内産大豆のうち八十一トンを生産・購入し、味噌、醤油、納豆、豆腐、油揚げ、つゆ、凍り豆腐に加工して消費者に届けています。 「大豆の会」は毎年一回、交流会を開くとともに、生産者と消費者、加工メーカーが一緒になって種まきや草刈り、枝豆まつりを行っています。今年二月に開かれた第五回交流会では、大豆トラスト運動の原点に立ち返り、「安全性の確保」のためのトレーサビリティ(生産・流通履歴を追跡する仕組み)の確立が確認されました。 石田専務は「アメリカの有機大豆には種子から追跡できるような証明書がついてくる。しかし、外国産の大豆は、どのように栽培され、水はどうなのかがわからない。福島県産の大豆なら、私はどこの土壌でどう作られたかが分かる。県内の土壌ならなめてもいいくらいのものだ。水もきれいだし、安心できる。今、トレーサビリティが言われているように、農協や農民連も組織として誰が作ったのか分かるようにする必要がある。証明できるようにすることが大事だ」と指摘します。
もっともっと県産の大豆を「国産の大豆で作った味噌や醤油がいいものだと分かってもらうためにも、生産者や消費者、加工メーカーとのコミュニケーションが大切だ。『大豆の会』を大いにアピールしていかなければいけない」と強調する石田専務は、「もっともっと県産の大豆を作ってほしい」と要望します。 コープふくしまの紺野昭男常務(組合員活動担当)は、「『大豆の会』は自給率を高めようという実践的な運動だ。全国の他の運動とのネットワークを広げ、国の政策を動かす実践が求められている。そのためにも地域での交流をもっと進める必要がある」と話します。 農民連の根本事務局長は「農民連としても安全で安心できる大豆をもっともっと作っていくためにも会員を増やしていきたい。また、消費者や生産者の交流をきめ細かく行い、『大豆の会』が発展していくよう取り組みを強めていく」と決意しています。 「大豆の会の誓い」が名実ともに大多数の県民のものになったら、自給率を上げる大きな展望を切り開くのではないかという思いを強くしました。
(新聞「農民」2003.7.7付)
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[2003年7月]
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