安心・安全安心・安全 国産大豆の自給率を上げよう(1)
街おこしから 学校給食へと広がった茨城・県南農民組合
広大な水田地帯の茨城県東町。転作作物として大豆や麦、そばを作っていますが、大豆の収量は米の三割。しかも選別が厳しく、価格はたたかれます。農家の嘆きを聞くなかで、私は農民組合の班会で「大豆畑トラスト」に取り組むよう呼びかけました。
小学校で「豆腐づくり」の講習農業体験を通して農業の大切さや遺伝子組み換えでない安心できる大豆や大豆加工製品を手にしたいという消費者と一緒に運動を進める大豆畑トラスト運動を説明すると、組合員から「価格も支えてくれるなら、オレの田んぼでやってみっぺ」と声があがり、スタートしました。 今年で五年目の「大豆畑トラスト」運動は、北海道から九州までの消費者に広がり、七百口を超えています。年に二回行われる「枝豆取り」と「豆腐・みそ作り」交流会。百五十人を超える参加者たちは、生産者の大豆づくしの手料理とふるさとに帰ったような豊かな大地に感激します。 トラスト以外の大豆は農協に出荷しますが、厳しい選別で、価格も安いのです。「同じように大切に育てた安全な大豆を何とかしたい」という要求が女性部の集まりで出され、手作りの豆腐講座を行いました。これがきっかけとなり、誰もが簡単にできる「手づくり豆腐づくりキット」(二丁分の箱、布、大豆、にがり、説明書付)を考案しました。このキットを持って豆腐、おからドーナツ、おからコロッケなどの作り方を講習する「出前講習会」は大評判になりました。講習会は女性弁護士、栄養士、新婦人の会、地元の三つの小学校にも広がり、どこでも「ワァー、甘い」と豆腐の味と香りに感動。 小学校の先生が転勤先で農民組合を話題にしてくださり、「食と農業」について授業で話すように頼まれました。児童から「日本の大豆が百粒中三粒しかないのにびっくりした」「ハンバーガーの材料はすべて輸入ときき、お母さんの料理をきちんと食べようと思った」など、全員から寄せ書きが届きました。正しい情報を未来を担う子どもたちに知らせることの大切さを痛感しました。
街づくりと食を結びつけた運動WTO施行後、農産物の輸入激増で、日本の農業はいうにおよばず、流通も様変わりしました。三年前から「自分たちだけでいい物を食べて満足しているのではなく、『街づくりと食』を結びつけた運動ができないか」という思いで始めた新婦人新宿柏木班との「豆腐産直」。私たちの大豆で街の豆腐屋さんに作ってもらった豆腐を、新婦人会員さんが買いに行く運動です。 八十丁の豆腐から始まり、今は百二十丁に増えています。月一回の「豆腐の日」は、五十人以上の会員さんが豆腐を買いにきてにぎわいます。このにぎわいに注目した二軒のお米屋さんがお米を、コンビニが私たちの大豆で作った味噌と醤油を販売してくれるようになり、「消費者が支えてくれて安心」と店主が元気になりました。地元・茨城でも二店舗が「豆腐産直」に取り組んでくれるようになり、二年になります。
国産びいきの人が増えた「安全な給食を子どもたちに」と熱心な東京・練馬区の小・中学校の栄養士さんの働きかけで、学校近くの豆腐屋さんと「マーボー豆腐の日」を月一回設けました。校長先生も「おいしい」とお墨付き。いま二校で取り組んでいます。また、大豆の香りと甘い味が評判のきな粉を使った「きな粉パン」は月一回五校で給食に出されています。 栄養士さんとの豆腐つくり交流会をきっかけに、タマネギを給食に使ってもらうようになって二年目になり、六校にまで広がっています。 大豆の自給率を高める「大豆畑トラスト」運動は二十俵から二百五十俵に増え、今年は四百俵を目標に頑張っています。トラストをきっかけに、人との交流は、様々なドラマを生み、国産びいきの人間に変えています。 安心・安全な大豆があります。必要な方は県南農民組合(電話0297-70-3503、ファックス0297-82-6640)へ連絡してください。 (茨城・県南農民組合 小林恭子)
(新聞「農民」2003.7.7付)
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[2003年7月]
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