「農民」記事データベース20020204-525-03

農民連第14回定期大会への報告(4)(前号のつづき)

二〇〇二年一月十五日農民連常任委員会

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IV 今こそ、農民のたたかう主体的力を――すべての市町村に組織をつくろう

 1 農民連が果たしている役割や期待に比べて、組織があまりにも小さすぎる

 農民連の結成以来、量・質ともに強大な「近代的組織作り」をめざし、結成以後、数倍規模に前進した県連組織も生まれるなど、多くの教訓を生み出してきました。しかし、直視しなければならないのは、組織拡大の飛躍が作れず、組織作りが最も立ち遅れた分野になっていることです。また、農民連の果たしている役割や、農民、消費者の期待の大きさに比べてあまりにも組織が小さすぎることが率直な到達点です。

 あらゆる要求運動と結びつけた組織拡大を最重点課題と位置づけ、すべての組織が全力をあげることを呼びかけます。

 (1)農民のたたかう主体的力を強くすることなしに事態の打開はできない
 農村から出ている自民党議員が、平気で農民の要求を踏みにじり、農民の組織である農協組織が、自民党農政の下請けとなって農民の利益を踏みにじる――けっして農民の手の届かないところで行われている問題ではないだけに「もっと大きな影響力のある農民連があったら」「もっと広大な新聞『農民』の読者があったら」というのが痛切な教訓です。三品目のセーフガードの発動中止、BSE(狂牛病)への政府の無責任な態度、農産物の輸入激増による価格暴落や、圧倒的多数の農民を切り捨て、日本農業を根底から破壊する攻撃が進められているいま、その思いはなおさらです。

 これまで自民党農政を支えてきた人たちの願いも無残に踏みにじる攻撃に対し、農民のなかにも、国民のなかにも大きな変化が生まれています。こうした人たちと共同し、反撃するたたかいを大きく前進させる条件が生まれているとはいえ、農村では強大な農民連がなければたたかいを前進させることはできません。

 (2)それぞれの到達をふまえ、大志ある目標をもって
 決議案は、結成以来、ほとんど組織を前進させることができず、県内に農民運動の専従者がいない組織の奮起をよびかけるとともに、一定の段階に前進した組織が次の飛躍をかちとれない問題について、単組機能や支部・班を中心にした活動の定着、役員会の団結と民主的運営、活動家の養成などの視点で総括し、到達に応じた検討を指摘しています。それぞれの到達点に応じて、これまでの教訓や問題点をしっかりつかみ、大志ある目標をもって組織拡大に取り組みましょう。農家戸数比で目標を明確にし、二桁の組織は三百人、五百人の組織へ、三桁の組織は千人の組織、四ケタの組織は二千人、三千人の組織をめざしましょう。

 組織拡大は、独自に追求し、決めた目標を達成するという役員会の構えなしには前進しないというのが、この間の教訓です。

 税金や農産物の作付が話し合われる三月末までを「春の仲間づくり運動」とし、積極的な目標をもって取り組みましょう。

 (3)地域を基礎に、自己回転する支部・班作りを
 組織作りの最大の眼目は、単組、支部・班が全国や都道府県連の方針に基づき、地域の農民の要求や関心に基づいて生き生きと自己回転する組織をつくることです。農民連の活動の主戦場は地域であり、地域に根ざし、信頼される組織なしに多数の農民を結集することはできません。

 その基礎は、集まり(会議)が開かれること、集まって会員や農民の要求や関心が話し合われ、みんなで分担して助け合って要求運動が進められることです。

 また、全国や県連の方針が伝わり、新聞「農民」や「農民連学習テキスト」が活用され、会員が農民連を胸をはってまわりの農民に語れるようになることです。

 (4)女性の力の発揮なしに農業の発展はない
 決議案が強調しているように女性の力の発揮なしに生産の拡大や農業を発展させることはできません。国民と連帯を広げるうえでも女性の役割は決定的に重要です。農村女性は、営農にかかわる要求とともに、介護や子育て、社会保障など多面的な要求を強めています。こうした要求を実現し、女性会員や女性部が運動の先頭にたてるように組織全体で援助し、単組段階まで女性部をつくることをよびかけます。

 (5)青年後継者を育て、確保する運動を組織全体の課題に
 農業後継者を育て、確保することなしに農業の持続的発展は保障されません。それは、農民運動にとっても同様です。

 農業が希望や魅力ある産業になるために、農政を変えることが土台であることはいうまでもありません。国や自治体に援助を要求することも重要です。同時に、農政への援助だけを要求し、「後継者がいない」と嘆いているだけでは後継者は生まれません。

 農民連が農業の役割を誇りにし、危機を打開するために開拓者精神を発揮して消費者や広範な国民と連帯してたたかっていること自体が、青年の正義感を呼び覚ますことにつながります。農民連の存在や活動をどれだけ多くの青年に語り、運動への参加をよびかけるかです。いま頑張っている専業の後継青年の全部と対話するぐらいの構えで働きかけを強めましょう。

 就農せずに勤めていることをもって「後継者がいない」とみることは後継者確保の芽を摘むようなものです。今日の農業をめぐる状況のなかで、休みの日に農作業を手伝い、普段は勤めに出ることはある意味で賢明な選択です。これを私たちの側が「後継者」の対象から外して、どうして農業が守れるでしょう。

 福島県連が地域の青年に呼びかけ、百人以上の参加でソフトボール大会を成功させたように、農業後継青年だけではなく、地域の青年全体を視野に入れて連帯や結びつきを広げることも大事な視点です。青年の要求やセンスを尊重し、組織全体で取り組みを強めましょう。青年部はその先頭に立ちましょう。

 2 新聞「農民」を広範な農民、国民に広げよう

 (1)新聞「農民」は、農と食を守る唯一の新聞
 セーフガード問題やベビーフードからの農薬検出、輸入冷凍弁当問題など、悪政を追い詰め、国民との連帯を広げる運動の前進は、新聞「農民」なくして語れませんでした。

 この「農民」が数十万の規模となり、すべての単協とその役職員、農業委員などの大多数に普及されていたなら、こうも農業破壊を許すことはなかっただろうというのも、この間、私たちが確認してきた痛切な思いです。同時に、「農と食を守る共同の新聞」として広範な消費者や流通関係者などに普及されたなら、農業を守る国民合意と連帯がどれほど大きな力をもつか大きな展望が広がります。

 多くのマスコミが大企業の言い分や自民党農政を賛美して垂れ流すという状況が続いているもとで、農民のためのジャーナリズムであるべき農協系統の新聞も残念ながら例外ではありません。文字通り、農と食を守る新聞は「農民」しかありません。

 昨年の大会でよびかけた「全国で一万部の拡大」は達成できなかったものの、埼玉県連や千葉県連などが年間目標を達成し、目標まであと一歩という前進をつくった組織が生まれたことは貴重な成果でした。

 (2)親しめる紙面、営農や暮らしに役立つ紙面改善について
 この間の編集努力と切り開いてきた成果、全国から寄せられている意見や要望も踏まえ、「みんなでつくろう、もの言う農民」の原点にたちかえって、紙面改善と、その保証である通信活動、編集体制の見直しを行います。

 購読料の改定を提起している三月を期して大文字の採用とデザインの一新を図ります。記事の減少を月一回八ページ化して補うことにします。内容の点でも、取材力を強めて「人」や「地域」の豊富な話題を掘り起こすとともに、農民の目線に立った営農や技術情報、農業や経営を守る具体的な取り組みなど、農民に役立つ記事の掲載につとめます。また、好評な分析センターの成果も生かした大胆な“食の安全キャンペーン”、各方面の専門家との協力による幅のある紙面作りをめざします。

 豊かな紙面をつくるうえで欠かせないのは通信活動の抜本的な強化です。都道府県連に「編集協力員」を配置してネットワーク化し、フィルム代やガソリン代程度の費用弁償を行います。力のある編集部のスタッフを確保します。

 3 財政について

 決議案で明らかにしたように、本部財政の毎月の経常経費が赤字となり、未払い金の発生など重大な現状にあります。

 昨年十月の全国委員会で、本部財政の現状を率直に明らかにするとともに、打開の方針を確認し、全国の討議をよびかけてきました。出された意見を踏まえ、財政問題を打開し、重大な農民連の役割を果たすために次の方向で全国的な団結と協力をよびかけます。

(1)今日の農業をめぐる事態の解決にとっても、財政問題の解決にとっても、その最大の保障は、新聞「農民」の拡大を進めることであり、当面、五万部の峰を突破することと会員拡大で飛躍させることです。この点を改めて明確にして全国の奮闘をよびかけます。

(2)滞納を抱えている組織の自覚を促し、滞納を作らない原則的な対応と援助を強めます。また、より厳密な予算編成と執行を貫き、本部の体制の見直しと支出の節約を行います。顧問税理士の配置と会計監査を補充しチエック機能を強めます。

(3)三年程度の長期的見通しをもって財政計画を立て、計画的な財政運営を強めます。

(4)以上の点を前提に、新聞「農民」の購読料を三月から月額三百五十円から四百五十円に改定します。

(新聞「農民」2002.2.4付)
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2002年2月

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