「農民」記事データベース20010611-496-02

税額は決めてもらうものと思っていませんか? それでは大損です

やってよかった農民連の税金申告

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 米や野菜など、すべての農産物の価格暴落で、農家の台所はどこでも火の車です。それなのに政府は、大銀行の救済やゼネコン奉仕の巨大開発に湯水のように税金を使い、“取りやすいところから取ろう”と、農家への税務調査を強め、消費税の増税で国民にしわ寄せしようとしています。

 しかし税金は、政府が決めるものではなく、納税者が所得に応じて納得して納めるものです。農民連は、「収入はゴマかさず、経費はチリ一つ残さない」という方針で、「税金ノート」への記帳を呼びかけ、納得・安心の税金運動を進めています。


 計算すればこんなに差が出る

 人任せで済ますか、きちんと計算するかでこんなに差が出る!というのが左のグラフです(グラフはありません)

 (1)は、福島・二本松市のAさんの事例。所得税、住民税、国保税、介護保険料の合計で、なんと三十万円以上も納税額が違うのです。

 Aさんは、キュウリ、トマトの果菜類、梨、それに米で一千万円近く売り上げる中堅の農家。役場申告(標準)で十一万円の所得税は、収支計算方式ではゼロ。住民税も四分の一に。

 役場申告では所得額と控除額だけを申告するので見落とされがちですが、住民税は所得税がかからない世帯にもかかってきます(控除額が小さいため)。「所得割」「均等割」がありますが大部分は「所得割」。ですから、きっちりと経費をあげることが大事です。

 さらに重要なのは国保税で、「所得割」、「資産割」(ない市町村もある)、「均等割」、「平等割」によって決まりますが、税額が決まるポイントは「所得割」。所得から控除されるのが基礎控除だけで課税対象額が大きいために、所得額をきちんと計算したかどうかで大きな差が出ます。昨年から徴収が始まった介護保険料も同じです。

 国保税を払えない世帯が増えています。キップが届く六月に、みんなで集まって学習し、問題があれば市町村と交渉を行うことが必要です。

 兼業先の税金が戻る

 (2)は、福島市の兼業農家(水田一・五ヘクタールと自家野菜)、Bさんの税額を比較したものです。農協で申告した場合、兼業先で源泉徴収された約十四万円の他に、農業所得が黒字でさらに所得税一万一千円、住民税は十万円余。しかし、収支計算方式でやってみると、逆に所得税が約十万円も戻ってきて、住民税も三万七千三百円で済みました。

 「昨年コンバインを新しく買い換えたので、今年は税金がかからないだろうと思っていた」Bさんは、農協で申告した税額にどうしても納得できませんでした。その三日後に、ふと目にとまった「農民連税金相談会」の新聞折り込み。「話だけでも聞いてみっか」と相談会に参加し、たまたま隣に居合わせた中学校の同級生に「まあ、やってみっせ。このノートに書けるとこだけでも書いてくればきっと仕上がっから」と励まされ、三日かけて農民連「税金ノート」に記帳。判らないところは、次の計算会で書き加えて仕上げました。

 “節税”分は所得税と住民税を合わせて約十八万円。Bさんは「一週間で一カ月分の給料を稼いだもんだ」と語っています。


 国税通則法第十六条は、所得税申告について、「納税者の申告によって確定することを原則とし…」と、うたっています。税金は、自分で計算して、自分で税額を決め、自分で納税する――これが一番正しい税金の納め方です(これを「申告納税制度」と言います)。

 農民連の(1)税金ノートに収入と経費を記帳、(2)所得と税額を計算し、申告書を書いて、みんなで集団申告という運動は、すべての農家が胸を張ってとりくめるものです。

 国税通則法第十六条(国税についての納付すべき税額の確定の方式)

 国税についての納付すべき税額の確定の手続きについては、次の各号に掲げるいずれかの方式による…

 1 申告納税方式

 納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とし…

(新聞「農民」2001.6.11付)
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2001年6月

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