「農民」記事データベース991011-423-08

東海・北陸ワイド版(2)

富 山


おばちゃん6人で始めた有機野菜の直売所

田んぼの“ド真ん中”でもお客さんが来てくれた/砺波市

 富山県の西部、チューリップの大産地、礪波市。一帯は広大な田んぼに点々と農家が散らばる散居村として知られています。そんな点在集落の一つ、大門(おおかど)にことし六月、小さな有機野菜直売所がオープンしました。メンバーは五十代から六十代の六人のおばちゃんたち。礪波特産にちなんで名前は「チューリップ・グループ」。とにかく楽しく野菜作りに取り組んでいます。

●おなじみさん

 毎週水曜日と土曜日の朝五時半、十品から二十品ほどの色とりどりの野菜や加工品が並べられます。野菜はみな、メンバーが〇・七アールほどの転作畑で共同で育てたものばかり。直売所を開く三カ月も前から、少しずつ時期をずらして、牛フン堆肥、鶏フン、ボカシ肥をたっぷり使って育ててきました。品目が偏らないよう調整しあいながら、自家用の野菜も持ち寄ります。グループの中心になってがんばっている境多都子さんは「何といってもこだわりは有機無農薬の安全な野菜作り。自分の家族に食べさせるようなものですね」と話します。

 直売所は田んぼのど真ん中にあります。「近所も農家ばかりだし、こんな所でお客さん来てくれるかな?」と、開店までは誰もが心配のしどおしでした。でも開店してみると通勤途中の人や顔なじみのお客さんがちょっとずつ増え、今では固定客も。とくにこの夏、トマトと漬物用ナスは、これをめがけて来るお客さんも多く、すぐに売り切れてしまうほどの大人気。

●とにかく楽しい

 「とってもおいしかった!」「こんなものも作って」「アレも出して」……今までは余った野菜は畑に捨ててきたのに、それを喜んでくれる人がいる。売り上げは一日一万円ほどと大金ではないけれど「みんなの大きな励みになります」と多都子さん。みんなでワイワイ、ガヤガヤ、にぎやかにお喋りしながら共同作業すること自体も、とても楽しいのだそうです。「共通の目的をもって集まれるのもいいことだね」とメンバー同士でも話し合い、ゲートボールの時間を減らしたり、時間のやりくりをしながら野菜作りに、直売所にがんばっています。

●温泉に行こうよ

 そもそもチューリップグループの六人は、仲のよい茶飲み友達でした。そこに多都子さんの息子さんで農民連会員の欣吾さんが、「農民連で聞いたんだけど、日本全国あちこちで直売所が盛り上がってるらしいよ。うちでもやってみんけー?(やってみないかい)」と呼びかけたのが直売所の始まりでした。

 今年は初めての体験ばかりでしたが、「新大正もち(おいしい品種のもち米)がとれたら”黒豆おこわ”を作ってみよう」「手作りの味カイもいいね」「来年は何を作ろうか」と、ますます夢はふくららでいます。売り上げの一部で温泉に行く計画も持ち上がって、さらに生き生きと精を出すお母ちゃんたち。旦那さんをはじめ、家族もあたたかく応援しています。


稲刈り交流会で収穫の喜び味わう

 秋晴れに恵まれた九月十九日、礪波市柳瀬の農民連産直組合事務局長の南弘志さんの田んぼで、春植えた稲の収穫の喜びを味わいました。新婦人の会長大泉さんをはじめ、子供連れの親子三十人が稲刈り体験。
 稲刈りの後は、公民館で交流会を開き、意見交換を行いました。新鮮な野菜ととれたての「新米」をオニギリにして食べました。
(富山県連・石崎清司)

(新聞「農民」1999.10.11付)
ライン

<<BACK][1999年10月][NEXT>>

HOME WTO トピックス&特集 産直・畜産・加工品 農業技術研究
リンク BBS 農民連紹介 新聞「農民」 農とパソコン

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-1999, 農民運動全国連合会