2・14酪農・畜産集会から
生産者の発言から酪農がなくなると町が消滅する岩崎和雄・北海道農民連釧根地区協議会議長(根室管内別海町) 別海は酪農が基幹産業。これがなくなると町自体が消滅してしまいます。ところが離農が進み、人口まで減り始めています。えさ代・資材高が酪農経営を苦しめ、昨年末からはセーフティネット資金を借り入れざるをえません。このままでいったら廃業が相次ぐのが現状です。 乳価が上がっても、労働者がその価格で買える労賃も必要。みんながそれぞれの分野でがんばって国産牛乳を守りたい。
海外からの乳製品輸入はおかしい石橋祐行さん(千葉県山武市、安全安心な国産牛乳を生産する会) 日本の酪農は窮地に立たされています。酪農の組織構造を見直さなければなりません。酪農家の声を集め、消費者の理解を得て(価格転嫁を実現して)いく必要があります。 指定団体には「1キロ30円の乳価値上げが必要だ」と訴えています。これからも声を上げ、消費者にも理解してもらうことが必要です。乳価値上げの障害となっているのは脱脂粉乳など乳製品在庫のダブつきです。それなのに、海外から乳製品が輸入されているのはおかしい。
他人事の農水大臣は早く辞めよ小椋幸男・北海道農業法人協会副会長(十勝管内上士幌町) 北海道の酪農家は需給適正化のために340億円もの対策費を拠出しています。その一方で海外から生乳換算で約450万トン分の乳製品が輸入されているのは不合理です。 野村農水大臣に酪農の窮状を訴えても「水田農家も苦しい」との返事があるだけでした。この大変な状況を作っているのは誰なのか。国です。農政です。それを他人事のように言う大臣はもう辞めてもらいたい。メーカーも乳価値上げを拒みながら、商品価格は何度も値上げしていることを、消費者に知ってもらいたい。
仲間が辞めるのを見るのはつらい金谷雅史さん(千葉市)これまでも酪農の窮状を訴えてきましたが、厳しさは変わりません。酪農現場では、生産抑制が続いた結果、手っ取り早い減産実現のために、「離農を希望する牧場は早く辞めてほしい」と考える酪農家もいます。 仲間がゆっくりと奈落の底に落ちていくのを助けられず、経営を継続できる自分に安どしてしまう。なんですか、この地獄は! 同業者を蹴落として生き残ることに何の意味があるのでしょうか。多くの仲間が声を寄せてくれることに感謝してがんばります。
生乳廃棄をメディアで訴えた川口太一さん(北海道十勝管内士幌町)(自らの牧場の生乳廃棄の様子についてメディア取材に応じたところ)地元の関係者からは「お前は何やってるんだ」と言われましたが、この窮状は消費者に訴えなければなりません。 子牛が缶コーヒーの値段に下がり、買い手のつかない子牛が一滴も親のミルクを飲むこともなく、薬殺せざるをえないのが北海道の現状です。国は助けてくれない。消費者の皆さんには牛乳・乳製品を買い支えていただくことが酪農家を救う方法だと知ってもらいたい。
生乳廃棄を防ぐために消費拡大を〓田雅章さん(神奈川県茅ケ崎市)牛乳は母牛の命を人間がいただくものです。蛇口をひねれば止まる水とは異なります。北海道で生乳を排水溝に流し廃棄を強いられる様子を見て、口惜しさや虚しさを感じています。この怒りをどこにぶつければいいのか。 これ以上の生乳廃棄を防ぐために、消費者の皆さんには1日にコップ1杯でいいから、普段より牛乳を多く飲んでもらいたい。 今は下を向く時間が多いかもしれませんが、1日も早く上を向いて歩けるようがんばりたい。
※〓は「吉」の異体字。
消費者の発言から国として資材高騰への緊急対策を東都生協・金井道夫常務理事昨今の酪農経営が圧迫されている厳しい情勢を共有しながら生産者と消費者の提携に努めてきました。今の価格高騰による酪農経営や家計への影響はこれまでの支え合いの努力だけでは解決できません。国として生産現場への緊急支援対策を行い、食料の適正価格への国民理解の促進に策を講じてください。 畜産・酪農家の声に耳を傾け、自給率向上への抜本的対策をとってください。
牛乳は活動の原点で重要な財生活クラブ東京・加瀬和美副理事長、生活クラブ神奈川・萩原なつよ副理事長 生活クラブは、1965年に東京・世田谷で200人余の主婦が牛乳をまとめ買いして分け合う活動から始まり、牛乳は私たちにとって活動の原点であり生活に欠かせない重要な財です。牛乳を飲めなくなることは酪農のみならず日本の食料全体、命に関わる重大な事態だととらえています。 「未来を明るくミルクビジョン」として、(1)提携している生産者への「酪農応援緊急カンパ」(2)牛乳を飲む人を増やして交流会・学習会の開催(3)国に対する政策提案――を行っています。
命をつなぐのは農業と食べものパルシステム東京・松野玲子理事長安心・安全な食べもののために運動と事業を進め、酪農家にタオルを贈る運動と消費で支え合うことを実施しています。生産者の生の声を聞いてもっと支援をしなければなりません。命をつなぐのは兵器でなく農業・食べものです。未来の子どもたちのためにも第1次産業は守られなければなりません。 本日、(1)配合飼料高騰への補助制度の拡充(2)国産飼料の生産拡大(3)施設の老朽化への資金援助―を要請しました。今日の話を持ち帰り、新たにできることをやりたい。
輸入のものは不安がいっぱいママエンジェルス・田中真希ユレナさん12月に千葉県庁に酪農対策を要請しました。他の食品は値上げし、こんなに生産者が困っているにも関わらず乳価を値上げしていないことに驚がくしました。 国産牛肉、乳製品、牛乳が手に入らなくなると輸入のものを買わなければならなくなります。成長ホルモン、抗生物質の投与が不安であり、アレルギーや発達障害を引き起こす懸念があります。 安全・安心な国産品をつくり続けてもらうためにも行政や生産者、消費者が一丸となって危機を乗り越えたい。
軍事予算を農家に回し生活守れ主婦連合会・平野祐子副会長昨年12月の集会に参加して畜産・酪農の状況を知って驚きました。 物価高がくらしを直撃し、それは政治の悪さからくるものです。子どもの貧困も進んでいます。こうした子どもたちにも安全で安心な牛乳を届けたい。 ミサイルや戦闘機の予算を回すことで農家の生活が守られます。SDGs(持続可能な開発目標)達成のために誰一人取り残さないよう私たちもがんばりましょう。
「乳搾るな、牛殺せ」にノーを日本婦人団体連合会・柴田真佐子会長酪農の危機を前にして消費者は黙っていてはいけない。このままでは国産の牛乳が飲めなくなります。 子牛を殺処分しなければならないことに胸が痛みます。「乳を搾るな、牛を殺せ」という農政にノーを突きつけましょう。 酪農を続けるために緊急支援策を。大軍拡ストップ、命最優先の政治を求めて生産者と消費者が手をつなぎ、今日からできることを始めましょう。
(新聞「農民」2023.2.27付)
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[2023年2月]
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